【評価・レビュー】Lies of Pが神ゲーである8つの理由&いくつかの問題点【ソウルライク】
ダークソウルやブラッドボーンのオマージュが過ぎる韓国製ソウルライクゲーム『Lies of P』ですが、PS5版を100時間ほどプレイして無事トロコンも完了しましたが、正直言って神ゲーでした。
Lies of P、3周して無事トロコン完了🫡
取得率1.8%の道のりはなかなかハードだった。
課題はあるけど本家に引けを取らない神ゲーだと思う🧐ところで、巡礼の道にある金色っぽいスターゲイザーってDLCの入口なのかな?(画像4枚目)🤔#LiesofP pic.twitter.com/OiiZnaMcwF
— KAKERU@車とゲーム好き|AC6攻略中 (@ks_product_com) October 2, 2023
発売して間もなく、アップデート(ver.1.2.0.0)でバランス調整が行われましたが、これを適用したバージョンをレビューをしていきたいと思います。
この記事の目次
Lies of Pが神ゲーである8つの理由
それでは早速、Lies of Pが神ゲーである理由を8つの項目に分けて解説していきます。
本家超えたかもしれない、奥深く完成度の高い戦闘
Lies of Pの戦闘の手触りは個人的に「本家を超えたのでは?」と思える仕上がりだと感じました。以下にその理由を解説していきます。
熟成された戦闘システムとゲームバランス
Lies of Pの戦闘はダークソウル、ブラッドボーン、SEKIRO、エルデンリングといったフロムゲーをベースとしていて、悪く言えばパクりですが、良く言えばインスパイアし熟成させたと言えるでしょう。
フロムゲー各作品の良い部分を取り入れていて、それぞれの要素がきちんと生きているんですよね。
あれもこれもと要素を詰め込めば、どれか1つは無駄になってしまうものですが、Lies of Pはそんなことはなく、上手く調和しているんです。かなり入念にバランス調整を行ったからこそ実現出来たのだと思います。
ジャストガードを採用しつつも、ジャスガゲーにはしないという判断
Lies of Pの防御手段の一つにジャストガードがありますが、SEKIROのようなジャスガゲーにはなっていないのもポイントです。
Lies of Pのジャストガードは若干シビアに設定されていて(ボタン受付猶予はそこまでシビアではないが、敵の攻撃にディレイが多く対応が難しい)、それでいてSEKIROのような『体幹ゲージ』は存在しないので、あえてジャストガードを重要視しない作りになっているんですよね。
ジャストガードをほどほどの性能に抑えることで、通常ガードや回避を使い分ける必要性が出てきます。それが奥深い駆け引きを実現しているんですよね。
また、通常ガードには『ガードリゲイン』という、ガードで受けた削りダメージを反撃で回収する仕組みがあり、これには武器性能が大きく関わってくるので、武器選びの楽しさにも繋がるのです。
スタミナに依存しない攻撃手段の導入で、攻めのバリエーションが多彩に
ソウルライクゲーと言えば、『スタミナ』という概念が特に重要です。
スタミナが尽きると行動出来ない状態になってしまうため、限られたスタミナの中で最も有効な行動を取るのがソウルライクゲーの定石でした。
しかしその定石は、攻めがワンパターンになりがちという問題性もありました。
例えば、ダークソウルのロングソードなら扱いやすい通常攻撃で戦うのが一般的で、エルデンリングの打刀なら強力な戦技で戦うことが多かったわけです。
一方、Lies of Pの特殊攻撃である『フェーブルアーツ』や『リージョンアーム』はスタミナを消費しません。
つまり、通常攻撃やタメ攻撃とは別枠で、スタミナの状態に関係無く、これらの攻撃を差し込むことが出来るので、攻撃のバリエーションが増大するんですよね。
ボスや強モブは結構硬めに設定されていますが、慣れればこれらの攻撃手段を連携させることで一気に畳み掛けることも可能で、爽快感もかなりのものなんですよね。
形勢逆転が可能な回復補充システム
Lies of Pにはダークソウルのエスト瓶、エルデンリングの聖杯瓶に当たる『パルス電池』という回復アイテムが存在します。
これの面白いところが、残量が尽きた状態で、敵に攻撃したり時間経過(要スキル)することで補充される点です。
つまり、ピンチでも諦めずに粘り続ければ形勢逆転が可能という事なんですよね。
このシステムのおかげで、死にゲー特有の死闘感を持続的に味わいやすくなっているのでメチャクチャ熱いんです。このシステムは本家にも逆輸入してもらいたいぐらいです。
”クソボス”がいない。戦っていて楽しいボスたち
Lies of Pにはクソボスと呼ばれる存在がいません。普通は1体や2体はクソボスが紛れているものですが、戦っていて楽しいボスばかりなんですよね。
ボスの強さはエルデンリング寄りといった感じで、しっかり動きを見て攻撃を差し込むタイミングを考えないと、手痛い反撃を食らってしまう難易度高めなバランス調整となっています。
一つの手段にこだわって戦うと「難し過ぎる」と感じてしまうレベルですが、『ジャストガード』、『通常ガード&ガードリゲイン』、『回避』を上手く使い分けることで、意外となんとかなるバランス調整なんですよね。
ソウルライクゲーでは御法度と言われている『複数戦』もありますが、前衛・後衛が分かれているので理不尽に攻められることが無いのも、絶妙にバランス調整されていると思いました。
・・・
といった感じで戦闘面について色々書きましたが、数々の要素の噛み合いが丁度良くて、繰り返し遊びたくなる中毒性があります。
カスタマイズ性の高い装備&スキルツリー
本家には無いLies of Pの独自要素として『武器調合』と『P機関(スキルツリー)』が存在しますが、こちらの完成度も高くゲーム性にも大きく影響します。
武器調合
Lies of Pの武器は『刃(ブレード)』と『柄』に分かれていて、それぞれを自由に組み合わせることが出来ます。
見た目が変わるだけでなく、『モーション』、『リーチ』、『攻撃力』、『能力補正』、『フェーブルアーツ』といった部分にも強く影響するので、あれこれ試行錯誤するのが楽しいんですよね。
武器の種類もかなり多く、”ロマン武器”も充実していて、意外な組み合わせが思わぬ性能を発揮するなんてこともあるわけです。
例えば、『レイピアの柄』と『大剣の刃(ブレード)』みたいな、現実ではあり得ない組み合わせも可能です。
P機関(スキルツリー)
スキルツリーはフェーズ1~5まであり段階的に解放されていきますが、どのスキルも有用でカスタマイズが楽しくなるものばかりなんです。
例えば、こんなスキルがあります。
- 連携回避(二段回避)が可能にする
- ジャストガード成功時に敵が怯むようにする
- ガードリゲインの回復量を増やす
- スタッガー(敵の体勢を崩す)ダメージを増やす
スキルによってはゲーム性も変わるぐらい影響が大きいものもあるので、1周目と2周目で取得スキルを大幅に変えてみると全然異なる体験が出来ると思います。
グラフィック・サウンドのクオリティがかなり高い
グラフィックやサウンドのクオリティの高さもかなりのものです。
PS5世代の美しいグラフィック
PS5版をプレイした限りだと、グラフィックはエルデンリングとリメイク版デモンズソウルの中間ぐらいの質感ですね。直近の作品だとFF16と比較しても引けを取らないクオリティです。
オブジェクトの造形も細かく作り込まれていてテクスチャーの品質も高いです。アートワーク的にもかなりのクオリティだと思います。
クラットの街もそれぞれのエリアが地続きになっていて、広大さを感じさせるものになっています。
こだわり抜いたサウンド
個人的にグラフィック以上に気に入っているのがサウンドです。
フェーブルアーツ使用時、ゼンマイ仕掛けの人形である主人公から「ギュォォォーン!」と鳴り響く作動音だったり、機械式の宝箱を開けるときのガチャガチャ音が心地良いんですよね。
ボス戦を始めとしたオーケストラ調のBGMは、個人的に特に評価が高いブラッドボーンのボス戦BGMに匹敵するレベルです。
さらに、収集アイテムの『レコード』は実際に聴くことが出来て、サントラが欲しくなるぐらいの出来なんですよね。しかも、このレコードは聴くことでゲーム性にも影響を及ぼすギミック付きなんです。なかなか無い発想なので感心しました。
リニアでありながら探索要素も楽しい
探索要素もなかなかの出来だと思います。
初代ダークソウルやエルデンリングのような『未知の領域を発見する楽しみ』はそこまで感じないものの、マップ自体の作り込みがしっかりしているので、隅々まで探索したくなる魅力があるんですよね。
マップの全体像は基本的にリニア(一本道)な構造ではあるものの、その中にはそれなりの自由度が感じられるので『やらされている感』はありません。
ショートカットも細かく設定されていて、それを繋げるのも地味に楽しいです。
また、理不尽なトラップはほぼ無いのでストレスも少ないです。
いわゆる『角待ち』や『仕掛け床』は割と多いのですが、即死することはまず無くチェックポイントも多いので、『プレイヤーを死なせる』というよりも演出的な意味合いが強い感じですね。
ストーリーも王道的ではあるが心打たれる
ストーリーもなかなか良いです。
童話『ピノッキオの冒険』をベースに再構築したストーリーとなっているのですが、なかなかハードな世界観になっています。原作もハードなんですが、リアルな映像が付いたことで際立っている感じですね。
ソウルライクということもあり、基本的にはそこまでしっかり語られるわけではないのですが、終盤はしっかりストーリーが描かれるので本家よりも感情移入しやすいと思います。
特にラスボスに向かう道中で流れるBGMは、直前のイベントシーンの内容と相まって涙腺がヤバかったです…。
オマージュ要素が多く、思わずニヤリとしてしまう部分がある
オマージュ要素の多さも個人的には評価高いですね。
悪く言えばパクリなので嫌悪感がある人もいると思いますが、作品のクオリティの高さからリスペクトを感じるので個人的にはアリです。
オマージュ要素の一部を挙げるとこんな感じです。
- ブラッドボーンの黒獣パールに似た特徴のボス『スクラップ警備員』
- SEKIROの葦名弦一郎の『巴の雷』を想像させるボス『無欠のラクサシア』
- エルデンリングの魔女ラニのような『青髪の女人形』
- ニーアシリーズのエミールに似たビジュアルのボス『王の炎フオコ』
- バイオハザードの『かゆうま』を彷彿とさせるテキスト
ソウルライクゲーでこういったオマージュは珍しいので少し異様に感じるかも知れませんが、有名作品でもこういったオマージュは多く見かけます。
例えば、『龍が如く7』や『ペルソナ5』ではポケモン、ガンダム、時事ネタのパロディが盛りだくさんで結構攻めているんですよね。
充実のボリューム!周回プレイで新要素解禁
Lies of Pをプレイする前は、「インディーズ作品みたいに10時間ほどでクリア出来てしまうコンパクトな作品なのかな?」と思っていたのですが、予想の真逆でしたね。
クリア時間は40時間弱でフルボリュームの作品でした(初代ダークソウルやブラッドボーンよりも時間かかりました)。
さらに周回プレイでは、
- マルチエンディング
- 数々の選択肢
- 新スキル解放
- 敵の言葉が分かる
といった要素が解禁されるので、フルプライスで購入しても満足度は高かったです。
アクセシビリティにもしっかり配慮
ソウルライクゲーには珍しく(?)、アクセシビリティにもしっかり配慮されているのが良かったです。
致命攻撃のマーカー表示
例えば、ダークソウルでお馴染みの『致命の一撃(致命攻撃)』は、発動可能位置が分かりにくく慣れるまで失敗することが多々ありましたが、今作では発動可能位置が分かりやすくマーカー表示されるので失敗がありません。
イベントの目視
一度会ったことのあるNPCは、イベントが発生するとそのエリアにNPCの顔アイコンが表示され、一目でイベントの有無が分かるようになっています。
NPCの事故防止
うっかりNPCと敵対したり、死なせてしまったりすると面倒なことになりますよね。
今作ではダークソウルのようにいきなりNPCに斬りかかることは出来ないので事故は起こりません。敵対するには会話で選択肢を選ぶ必要があります。
経験値ロストのリスクが低い
大量のエルゴ(=ソウル=経験値)を失った時の喪失感は半端ではありません。長時間かけて経験値を稼いだのにロストしたら、リアルに時間を無駄にしたことになりますからね…。
今作でもロストすることはありますが未然に防ぐことが容易です。
例えば、ボス戦で死んだときはボス部屋の前にエルゴが配置されますし、道中で死んでも後から消費アイテムでエルゴを保護することが出来るんです。しかもその消費アイテムは比較的容易に入手できます。
フロムゲー準拠の操作感
ここは賛否分かれると思いますが、『フロムゲー準拠の操作感』なのも良かったです。
他作品だとオリジナリティを出そうとして『独自の操作性』や『独自のボタン配置』にしがちですが、そうするとプレイヤーに”ゲームに慣れるための労力”を強いることになるわけです。
Lies of P はとことんフロムゲーの操作感・ボタン配置に近づけているので、フロム作品をプレイしたことがある人ならストレス無くすぐに遊べます。
Lies of Pが抱えるいくつかの問題点・欠点
神ゲーの今作ですが、いくつかの問題点や欠点を抱えているので紹介します。
日本語訳は改善の余地あり
まず目に付くのが日本語訳の甘さですね。
体験版よりはだいぶ改善されたこともあり、そこは好感触ですが、それでも粗は感じます。
9割は問題無しで、残り1割で「ん?」と思う部分がありますが、ストーリーが理解が出来なくなるほど致命的な誤訳はほぼ無いので、そこは安心して良いと思います。
キャラクターとカメラワークの挙動
今作では敵の側面や背後に回り込みながら戦うことが多いのですが、密着しながらだと敵に引っ掛かりやすく上手く回り込めないということが何度かありました。
また、これは本家でも良くあることですが壁際でのカメラワークの問題ですね。カメラワークに殺されることが結構あります。
また、壁際での武器の振りづらさは本家よりも過剰ですね。
『敵への引っ掛かりやすさ』と『壁際での武器の振りづらさ』が相まって、壁際に追い込まれると行動不能になってやられてしまうことが、ダークソウルやエルデンリングよりも結構多いように感じました。この辺りの判定はもう少し緩和した方が遊び易いと思います。
周回プレイ時のスキルの平均化
これは贅沢な不満だと思いますが、3~4周プレイすると全てのスキルを取得出来てしまい、ビルドを考える楽しみが薄れてしまうんですよね。
なので、スキルは取得したものを全て適用するのではなく、適用可能なスキルの個数を制限する仕様に変更し、ビルドを考える楽しみを残すようにすれば、4周目、5周目も新鮮な気持ちで楽しめると思いました。
既視感の強さ、新鮮味の薄さ
これは個人的には不満というより、このシリーズがもっと成功する為に必要な要素ですね。
遊ぶ分にはかなり楽しいのですが、良くも悪くもフロムゲーのオマージュ作品の域を出ていないと思うので、インディーズ感が強くメディアが大々的に取り上げにくいと思うんですよね…。
オンライン要素が無い
私はソロプレイ専門なので気にならないのですが、ダークソウルやエルデンリングを基準とした場合、オンライン要素が無いのは寂しいと感じる人は多いと思います。
これはメーカー側の事情的に仕方が無いと思っていて、売り上げの予想が立たない状態でオンライン要素を導入するのは博打要素が強いわけです。今作が売れて盛り上がれば、今後オンライン要素の実装もあり得るかも知れません。
Lies of Pの得点
※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。
項目別評価
- グラフィックス ☆☆☆☆☆
- キャラクター、背景、装備などいずれも妥協無く作り込まれている
- サウンド ☆☆☆☆☆
- 効果音、BGMともこだわりを感じるクオリティ
- 熱中度 ☆☆☆☆☆
- ソウルライクならではの中毒性と絶妙なバランス調整に時間を忘れて没頭できる
- ボリューム ☆☆☆☆☆
- 本編、周回要素ともに充実。満足度は高い。
- 遊びやすさ ☆☆☆☆★
- 基本的には良好だが、日本語訳の不十分さ、特定の状況でのプレイのし難さは改善の余地あり。
Lies of Pはあらゆる要素を高水準に仕上げたオマージュ山盛りのソウルライク神ゲー
というわけで、フロムゲーのオマージュ盛りだくさんのソウルライクゲーム『Lies of P』のレビューをしましたが、本家と同等か部分的にはそれ以上のクオリティを誇る神ゲーだと感じました。
オマージュの多さは人によって好き嫌いが分かれると思いますが、純粋なゲームとしての出来はかなり高いです。相当、フロムゲーを研究して作られたことが分かります。
Lies of Pをプレイし、デベロッパー『NeoWiz』の実力の高さを感じたので、次回作にもかなり期待出来そうです。
かなりオススメなので、気になる人はぜひ遊んでみてください!
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