レビュー
投稿日:2023年09月23日更新日:2024年10月25日

【評価・レビュー】アーマード・コア6を80時間プレイして感じた魅力と不満点

10年ぶりの続編が発売されたアーマード・コア6(AC6)ですが、率直に言って思った以上に良く出来た作品でしたね。

『ロボゲーの頂点であり神ゲー』と言っても差し支えないクオリティだと思います。ただ、一部不満点もあります。

というわけで今回はアーマード・コア6のレビューを詳細に書いていきます。

なお、プレイ状況的には下記のような感じです。

  • 80時間ほどプレイ
  • 本編を3周クリア、全ミッション達成
  • 4割のミッションでランクS取得
  • 収集要素7割ぐらい

購入の参考にしてもらえたら幸いです。

アーマード・コア6はリブートされ遊びやすくなりつつも、深みを感じる魅力的な仕上がりに

今作は6つ目のナンバリングですが、ストーリーは完全新規のリブート作品になっています。

全体的に遊びやすく改善されていて、新規ユーザーの取り込みを強く意識した作りになっていると感じました。

自機を自由にカスタマイズする普遍的な楽しさは健在

新規ユーザーの取り込みを意識しつつも、作品のコアであり最大の魅力である自機のカスタマイズ(アセンブル)の奥深さは健在です。

ヘルプが充実しているので、間口を広げるだけでなく、アセンブルの理解を深めることに成功していると感じました。

機体の性能を確認するテストモード(AC TEST)では、リアルタイムにアセンブルの組み換えが出来るので、性能の変化を確認しやすく、『気軽に組めて奥深い』んですよね。

そして、相変わらず単純にアセンブルは楽しいんですよね。

組み合わせたパーツでゲーム性が大きく変わるので色々と試したくなりますし、『絶対的に強いパーツ』というものは無いので、色々と試行錯誤する余地があるんですよね。

例えば、火力に優れた武器はエネルギー消費が激しいので、より大きなジェネレーターを装着する必要があり、そうなると今度は重量が増えて動きが鈍くなってしまいます。

そこで、以下のような選択が生まれます。

  • スピードを犠牲にして火力と装甲を重視するか
  • 装甲を犠牲にして火力とスピードを重視するか
  • 火力を犠牲にして装甲とスピードを重視するか

勿論、この3パターンだけではなく、人によって選択は無数にあります。

この無限とも言えるバリエーションを試行錯誤するのがホント楽しいんですよね。

ソウルライクな操作性を採用し、機体を操るハードルが緩和

元々、アーマードコアシリーズ(特にAC1~3)は操作性が難解で、ゲームを攻略する以前の部分でプレイを諦める人が多かった作品なんですよね。

今作では基本的な操作性をダークソウルやエルデンリングに近づけ、敵を自動で追従する『ターゲットアシスト』が実装されました(ダークソウルの『ターゲット固定』と同等の機能)。

これにより、『敵の動きを追い、狙いを定める』という操作が不要になったので、ACを操縦するハードルがだいぶ下がったわけです。

これについては熟練プレイヤーからは批判的な声もありますが、ミッション自体はしっかり難しいので、総合的なバランスは取れていると思います。

グラフィックやサウンドのクオリティ向上で増した重厚感と爽快感

「操作が簡単になったことでロボゲー特有の重厚感が損なわれるのではないか?」と少し心配だったのですが杞憂でした。

グラフィックとサウンドが進化したことで、ロボットの重厚感や、機体を操る爽快感が向上しているんですよね。

もちろん、物足りなくなったと感じる人もいると思います。

けど私は、今までより意のままに機体を操りやすくなったので、作品の魅力が引き上げられたと感じました。

トレーニングモードの導入で初心者でも入りやすい

AC6は基本的には難易度高めの作品ですが、今作はトレーニングモードが充実していて、初心者でも遊び易くなっていると思います。

トレーニングモードでは武器や機体フレームの特徴を実践で解説してくれるので、初めてでも理解しやすくなっているんですよね。

また、トレーニングを終了すると報酬が手に入るのも、ゲームデザインとして良く出来ていると思いました。

チェックポイントの導入で試行錯誤がしやすくなった

今作ではミッションの途中にチェックポイントが用意されており、ミッションに失敗しても途中からやり直すことが可能になりました。

リトライ時にアセンブル(機体のカスタマイズ)を変更することが出来るので、気軽に最適な答えを模索することが出来るわけです。

これに関しては、「ヌルゲーになった」と感じる人もいると思いますが、クリア後の評価でSランクを取るにはリトライ不可なので、最終的にはやり込み派の人でも満足出来るようになっているのは良い調整だと思います。

アーマード・コア6ではステージ攻略とボス戦で異なる魅力が堪能できる

アーマード・コア6のミッションは大きく『ステージ攻略』と『ボス戦』の2つで構成されています。この2つにはそれぞれ異なる魅力が詰まっているんですよね。

ルート開拓や戦術を考えるのが楽しいステージ攻略

ステージ攻略は昔ながらのアクションゲームとも言えるゲーム性ですが、『敵と戦う』ことよりも『どういったルートで進行するか?』に重点が置かれています。

例えば、侵入ミッションでは、敵1体の強さは大したこと無くても、大量の敵に囲まれたら撃墜されてしまうので、1対1に持ち込めるルートを開拓する必要があります。

護衛ミッションでは、もたもたしていると護衛対象が撃墜されてしまうので、先回りして効率的に敵を撃退していくルートを探る必要があります。

殲滅ミッションでは、大量の敵が出現する為、途中で弾切れにならないような戦術を考える必要があります。

このように、少し頭を働かせる必要が出てくるのがステージ攻略ミッションの特徴なんですが、上手く戦術が噛み合った時の爽快感が堪らないんですよね。

ソウルライクな試行錯誤がクセになるボス戦

AC6のボス戦は過去作品よりもシビアな駆け引きを求められるようになりました。

ダークソウルエルデンリングのエッセンスを取り入れた『ソウルライク』な戦闘となっているわけですが、個人的にこれは良かったと思います。

最初のうちは何度も負けて無様な姿を晒すことになるわけですが、何度も戦っているうちに敵の動きが見えてきて、最後は相手を翻弄するような華麗な立ち回りが出来るようになっているんですよね。

「気付いたら熟練のエースパイロットになっている」といった感じなので、アーマードコアとソウルライクの相性はとても良いと感じましたね。

なお、ソウルライクゲーとは異なる部分もあって、AC6には回避行動に無敵時間が無く、弾幕も激しいので、どんなに上手くてもある程度の被弾は受けることになります。

つまり、ソウルライクゲーのようにプレイスキルだけで攻略出来るというわけでなく、ちゃんとアセンブルの存在意義が活かされているんですよね。この辺りのバランス調整も良かったと思います。

アーマード・コア6の不満点

AC6はほぼ文句無しの作品ですが、細かい部分で気になる点があったので紹介していきます。

アリーナはもう少し難しくても良い

主人公と同じACパイロットと戦う『アリーナ』の難易度が、ミッションボスに比べるとだいぶ弱く感じました。

成長要素である『OSチューニング』の”チップ”が報酬になっているので、ある意味、初心者救済の為のコンテンツなので仕方がない面もあると思いますが、報酬入手後に再戦する場合は、難易度を引き上げるなどの措置があれば嬉しいですね。

周回時のボスが弱い

今作には周回要素があり、2周目以降に出現する高難易度ミッションも有ったりします。

そこで気になってくるのが各チャプター最期に登場する大ボスの存在。

このボスの強さは周回とは関係無く固定なので、自機が強化された2周目以降はやたらと弱く感じてしまうんですよね。

全部のボスを強くすべきとは思わないですが、章の締めくくりに登場するボスは強くあって欲しいんですよね。

一部、ユーザビリティで不親切な箇所がある

バトルログや隠しパーツの総数が分からない

ステージの各所には収集アイテムがあるのですが、総数が表示されないので、取り逃しがあるのか分からないんですよね。

どうしても攻略サイト頼りになってしまうので、自力で収集したい自分としてはもどかしくなりました。

補給地点が近くまで行かないと分からない

長いステージの途中には補給地点がありますが、スルーしてしまうことが何度かありました。

かなり近付かないとアイコンが表示されないので、何も無いと勘違いしてスルーしてしまうんですよね。

ウェポンハンガー使用時、アクティブな武器が分かりにくい

今作では両手両肩に武器を装備出来ますが、両手用の武器を肩に装着する為の『ウェポンハンガー』という機能があります。

両手用の武器を肩に装備しただけでは使えないので、その都度持ち替えて使用することになるわけですが、「今両手に装備している武器が何なのか?」が分かりにくいんですよね。

そのせいで、「射撃するつもりがブレードで攻撃してしまう」ということが頻発するんですよね。ボス戦では結構致命的だったりします。

分かりやすく可視化するような調整があると助かりますね。

セーブデータが1つしか作れない

セーブデータが1つだけというのも不便に感じました。

ダークソウルやエルデンリングは気軽にいくつもデータを作れましたが、AC6ではニューゲームをする場合、既存のデータは削除する必要があります。

「ゼロからミッションを攻略し資金を稼いでいく」というのはゲームの楽しみの1つだと思うので、気軽にニューゲーム出来るようにして欲しいですね。

マルチプレイ要素が簡素でありハードルも高い

オンラインマルチプレイはだいぶ簡素で、かつ、プレイするハードルが高い印象を受けました。

ダークソウルやエルデンリングは様々なアプローチでオンラインプレイがしやすくなっていましたが、AC6はルームを作成し、そこで参加者を集め遊ぶという方法しかありません。この結構ハードルがなかなか高くて、気軽に遊べる人はそう多くないと思うんですよね。

自動で対戦相手が選出される『クイックマッチ』や、公式が作成・管理する『イベント戦』みたいなものを実装して、気軽にプレイ出来るようにすれば盛り上がると思います。別ジャンルですが、『グランツーリスモ7』みたいなオンラインプレイが理想ですね。

アーマード・コア6の得点

93 / 100
93 / 100

※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。

項目別評価

グラフィックス ☆☆☆☆☆
機体の重厚感、カッコよさを引き立てる美しいグラフィック
サウンド ☆☆☆☆☆
グラフィックとの相乗効果でよりAC機体の魅力が引き立つ
熱中度 ☆☆☆☆☆
カッコいい機体動かす気持ち良さ、奥深いアセンブル、緊張感抜群の戦闘で没頭できる
ボリューム ☆☆☆☆☆
周回要素、ランクS取得といったやり込み要素あり。自分だけのアセンブルを追求し始めたら無限に遊べる
遊びやすさ ☆☆☆☆★
基本的にはほぼ完璧だが、特定の遊び方をする場合に不便と感じる部分がある

アーマード・コア6はロボゲー好きじゃなくても遊んで欲しい神ゲー

というわけで、アーマード・コア6のレビューをしてきましたが、ほぼ文句無しの神ゲーでしたね。ホント楽しかったです。

機体をカスタマイズしたり、立ち回りを改善するなどの試行錯誤を繰り返して、ミッションを達成する気持ち良さはロボゲー好きじゃなくても楽しいと感じるはずです。

最近は『誰でもクリア出来る配慮されたゲーム』が多いですが、それとは真逆のコンセプトの作品なんですよね。

難関を乗り越えた時の達成感や充実感は、『昔ながらのゲーム』に通じるところもあるので、この楽しさを多くの人に体感してもらいたいですね。

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