【評価・レビュー】FF7リバースはリメイク第2弾の使命を果たした傑作!【良い部分・悪い部分まとめ】
FF7リメイクプロジェクト第2弾として発売された『ファイナルファンタジー7 REBIRTH(FF7リバース)』ですが、約90時間のプレイの末、ようやくクリアしたのでレビューをしていきます。
一部ネタバレを含むのでご注意ください。
この記事の目次
FF7リバースはリメイクプロジェクト第2弾に求められる要素をしっかり盛り込んだ傑作!しかし・・・
詳細なレビューをしていく前に、作品全体を通してのおおまか感想を話します。
FF7リバースはリメイクプロジェクト第2弾に求められている要素を多く取り入れ、使命を果たしたというのが率直な感想ですね。
広がる世界。ワールドマップについて
個人的に最もFF7リバースに求めていたのはワールドマップの実現です。
正直、オリジナル版FF7のワールドマップをリアルに再現するのは無理だと思っていたんですよね。なので、FF16のように中小規模なマップが、エリアごとに複数用意されるものと予想していたわけです。
それが蓋を開けてみたら、オープンワールドと言っても差し支えない規模のマップが実現されていて驚きました。
しかも、自然や建造物の描写が他のどの作品よりも精密で多彩なんですよね。他作品ならテクスチャーで誤魔化すような部分でもしっかりモデリングしているので、立体的で存在感をしっかりと感じられるのです。
個人的にはこの1点だけでも、FF7リバースの存在価値を証明出来たのではないかと思います。
充実のファンサービス
前作や過去作のプレイヤーに向けたファンサービスがかなり多いことも、FF7リバースが評価されるべき部分です。
前作の主要な登場人物はほとんど出演しますし、なんならメインストーリーやサブストーリーにしっかりと関わってくるので、前作のプレイヤーは思わずニヤリとしてしまうことは確実でしょう。特に、アバランチのメンバーのその後だったり、生死がハッキリ描かれているので、前作のモヤモヤした部分が解消されます。
また、前作のラストで登場したザックスの存在理由も描かれているので、謎が解けて良かったと思います。
あとは、過去作のファン向け要素としてギルガメッシュが登場します。メインストーリー顔負けのボリュームで語られたり、「ギルガメッシュと言えばコレ!」という要素も盛り込まれているので、一連のストーリーは全て遊ぶ価値ありですね。
ストーリー良し。ただ、エアリスの運命が描かれるエンディングは賛否分かれる可能性が高そう
本作のストーリーの範囲はオリジナル版のディスク1の終わりまで、つまりエアリスの運命が決まる『忘らるる都』までです。
結末はオリジナル派とリメイク派の両方の想いを尊重した内容となっていましたが、これについては賛否ありそうな感じですね。
FF7リバース全体を通してのストーリーは個人的にかなり良かったのですが、最終章からエンディングにかけては、並行世界とクラウドの妄想が入り乱れるような演出のせいで、スッキリしない終わり方というのが正直なところです。
開発者としては「オリジナル版の衝撃的な展開を残したい」と「エアリス生存の可能性を残したい」という2つの狙いがあったと思うんですが、見せ方が良くなかったせいか、モヤモヤだけが残る中途半端なエンディングになってしまったと感じました。
展開自体は悪くないと思うんですが、本作のエンディングには相応しくないと感じましたね。個人的には『エアリス問題』は第3弾には引きずって欲しくなかったというのが正直なところです。
という感じで全体的な評価はこんな感じですね。
ここからは各要素の良い部分・悪い部分をまとめていきます。
FF7リバースの良い部分
FF7リバースの良い部分をいくつかの項目に分けてレビューしていきます。
美しく広大な世界
冒頭でも紹介したように、ワールドマップのスケール感や作り込みが尋常じゃないんですよね。
他のオープンワールドゲームだと、もう少しパターン化された景観だったりするところを、FF7リバースでは1つ1つが異なる景観になるよう作り込まれているんです。
作中で特に印象的だったのが、最初に冒険するグラスランドエリアと要塞都市の一画アンダージュノンです。
グラスランドは雄大な自然が魅力で、岩肌の細かな凹凸まで精細に作り込まれているのが印象的でした。また、アンダージュノンのような巨大な要塞で空を覆われた空間は、他のオープンワールドゲームではなかなか見ないので新鮮でした。
どのエリアも特徴的で、それぞれを眺めるだけでも楽しめるのがFF7リバースの良さの1つです。
ボリューム満点。膨大なやり込み要素と自由度
前作、FF7リメイクはボリューム不足なところや、自由度の低さがイマイチに感じた人も多いと思うんですが、FF7リバースはやり過ぎなぐらいのボリュームとなっています。寄り道要素も膨大なので、冒険の自由度も飛躍的に向上しましたね。
ざっくりとメインストーリーとサブクエストを一通り遊んで90時間、収集要素をコンプリートするとなると100時間では全然足らず、早い人でも150時間、一般的には200時間以上は要するボリューム感ですね。
リアルに描かれた迫真のストーリー
メインストーリーは基本的にはオリジナル版になぞって進行しますが、ディテールは一新されているので、オリジナル版とは全く異なる感じ方をします。
例えばジュノンでは、軍事パレードイベントにおいて『第七歩兵連隊』との絆が生まれたり、ユフィの復讐にまつわるエピソードが追加されてシナリオに厚みが増しています。
特に個人的に印象的だったのは、コレルエリアでのバレットの親友ダインとのイベントシーンですね。あのシーンはリアルな演出だからこそ感じられる”やり切れなさ”があると思います。個人的にFF7リバースで一番好きなシーンですね。
充実のサブストーリー。キャラの掘り下げが深い
サブクエストやアクティビティ(ワールドレポート)はメインストーリーに引けを取らないクオリティで、どれも見応えがあるものになっています。
冒頭でも紹介したように、アバランチのメンバーであるビックス、ウェッジ、ジェシーのエピソードを始めとする、メインストーリーに組み込んでも良いレベルの物が多いんですよね。
ちょっとしたサブクエストでも、移動の合間にパーティーメンバーの会話が聞けるので、キャラクターの理解を深める事が出来ます。
ゲスト参戦的な扱いのギルガメッシュは、ストーリーの本筋から外れた関わり方ではありますが、ファンなら堪らない演出で思わずニヤリとしてしまうこと間違いなしです。
より戦略的に深みが増した戦闘システム
戦闘は前作をベースに要素を追加した内容になっていて、前作が楽しめた人なら今作はより楽しめると思います。
直近のFFシリーズではFF16が同じアクションベースの戦闘となっていますが、個人的にはFF7リバースの戦闘のほうが好きですね。
FF7リバースでは前作よりも戦略が求められる印象で、しっかりと敵の弱点や行動パターンを見切って対処していく必要があります。
新要素に『連携アクション』や『連携アビリティ』があります。使いこなすには慣れが必要ですが、攻撃のアプローチが多彩になったことで、戦略の幅が広がり楽しさが増しましたね。
クオリティの高いミニゲーム群
FF7リバースは過剰なぐらいミニゲームが盛り込まれているのですが、どれもクオリティが高く、一つ一つをしっかり極めたくなる魅力があります。
特に印象的なのが『クイーンズブラッド』というカードゲーム。将棋とリバーシ(オセロ)と組み合わせて、それぞれの駒にパラメーターを持たせたようなゲーム性です。
相手の手札が見えない仕様なので、「何手先まで読む」みたいな高度な駆け引きは不要で、カジュアルに遊べつつも、自分の手札の選定には一定の戦略性があったりするので楽しいんですよね。また、カードをコレクションする楽しみがあったり、テンションが上がるBGMもハマるポイントです。
他には、レース、バトル、音ゲーといったスコアを競うようなミニゲームも豊富なので、じっくり楽しみたい人には満足度が高い内容になっていると思いました。
コンテンツをコンプリートしたくなる工夫された導線
私の場合、大半のゲームは「メインストーリーだけクリアして、サブストーリーやアクティビティはほどほど遊んでオシマイ」という事が多かったのですが、FF7リバースではサブストーリーやアクティビティを隅々まで遊び尽くしたくなるよう導線が工夫されているんです。
まず、先述したようにサブストーリーやアクティビティが、メインストーリーと遜色ないクオリティであることがその理由の1つですが、他にはそれぞれイベントが相互に連動しているというのもあります。
例えば、『サブストーリーAを進めるには、アクティビティBをクリアして報酬を得る必要がある』みたいな感じですね。そんな感じで進めていると、気付いたらコンプリートしている感じです。
あとは、サブストーリーの経験値がかなり多めに設定されているので、キャラクターの育成がサブストーリーを遊ぶ動機になったりもするんですよね。
FF7リバースの悪い部分
続いて、FF7リバースの悪い部分を解説していきます。
パルクールやチョコボの挙動がイマイチ
これはワールドマップに出てすぐに感じた事ですが、段差を乗り越えたり飛び降りたりする『パルクール』アクションの出来が良くないと思いました。
ちょっとした段差を登ったり降りたりするだけでも”引っ掛かり”を感じるんですよね。『一度立ち止まって昇り降りするような感覚』とでも言いましょうか。チョコボに騎乗している時は特に顕著で、移動速度が速い分、余計に”引っ掛かり”が気になるんです。
あとは、”見えない壁”が多いのも気になります。
FF7リバースはオープンワールドのような広大な景観ではあるものの、ルートはある程度制限されていて、見た目的には昇り降り出来そうなのに出来ない段差が多いんです。ルートの見逃しにも繋がるので、もう少し改善して欲しいと思いました。
ちなみに、中盤で入手する『バギー』に関しては、”引っ掛かり”も”見えない壁”も感じないので快適に操作出来ました。チョコボや歩行もバギーと同じ仕様にして欲しいですね。
グラフィックにムラがあり、美しい部分と粗い部分で差がある
グラフィックの美しさ・作り込みが魅力の本作ですが、そうでない部分の粗が目立つという欠点もあります。
前作でもそういう部分があったのですが、全体的に美しいからこそ、粗い部分が強調されてしまうんですよね。視覚に入りやすいオブジェクトの解像度は上げて欲しいです。
また、グラフィック設定を『パフォーマンスモード』にした時の解像度が結構低いと感じました。特に遠景表示が顕著で720pほどしか出ていないように感じます(前作よりも粗いかも)。かといって『グラフィックモード』にすると、フレームレートが犠牲になるので目が疲れて画面酔いしやすくなるので、悩みどころなんですよね…。
ゲームシステムが複雑で説明不足な側面がある
続編なので仕方ない部分もあるとは思いますが、ゲームシステムが複雑で慣れるまで大変に感じました。
仕様が変わった『ウェポンアップグレード』、新しく追加された『連携アビリティ』、いくつかのミニゲームに関しては、もう少しチュートリアルを充実させても良かった気がしますね。
探索・収集要素の弊害で画面酔いしやすい
私以外も悩まされたプレイヤーが多いみたいなんですが、今作は結構画面酔いしやすいみたいです。
というのも、今作は探索・収集要素が充実しているので、カメラ操作が頻繁に発生し、どうしても酔いやすいんですよね。
加えて先述したようにチョコボの挙動にクセがあるので、それも画面酔いを誘発します。
10時間、20時間もプレイすれば慣れてくるものの、最初は結構きつかったです…。
ストーリーに組み込まれるミニゲームがクドい
【良い部分】ではミニゲームのクオリティの高さを評価したわけですが、メインストーリーやサブストーリーで強制的にミニゲームをプレイさせられることが多いので、結構ストレスに感じたり、クソゲー扱いしたくなる人は少なからずいると思います。
一つ一つのミニゲームの作り込みが凄いので、ルールを覚えるのにも一苦労ですし、難易度もそこそこ高い物もあったりします。
トロコン目指す場合は、おそらく全てのミニゲームで最高評価を叩き出す必要があるので、トロコンにこだわりがある人は泣くことになるでしょう…。
エンディングには賛否あり
冒頭でも話したように、最終章からエンディングにかけての演出は賛否ありそうです。個人的にはスッキリしなかったです。
並行世界の存在によってエアリス生存の可能性を残すにしても、オリジナル版の名場面はきちんと描いて欲しかったですね。
プレイヤーをエアリス生存で喜ばせるわけでもなく、エアリス死亡で悲しませるわけでもないので、イマイチ盛り上がりに欠けるんですよね。さらには並行世界とクラウドの妄想が入り乱れて、プレイヤーの頭の中は「???」という状態…。
冒頭でも書いたように、エアリス問題は今作で決着をつけるか、もう少しスッキリする締め方をして欲しかったのが正直なところです。
FF7リバースの得点
※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。
項目別評価
- グラフィックス ☆☆☆☆★
- 地形や建造物のモデリングの細かさが世界トップレベル。ただ、調整不足な面も…。
- サウンド ☆☆☆☆☆
- 声優の演技力、SE&BGMのクオリティなど文句の付けよう無し!
- 熱中度 ☆☆☆☆☆
- 最初から最後まで時間を忘れてプレイしてしまう中毒性あり!
- ボリューム ☆☆☆☆☆
- メインストーリーとサブストーリー/アクティビティを一通り遊んで90時間、収集品などもコンプリートするなら150時間や200時間は必要。
- 遊びやすさ ☆☆☆☆★
- 若干複雑で説明不足なシステムや強制されるミニゲームには賛否あり
FF7リバースは前作の不満点を大きく改善した傑作
というわけで、FF7リバースのレビューでした。
前作FF7リメイクと比較すると、自由度やボリュームが大幅にアップしたので、FF7のリメイク作品に期待されていた要素はキチンの盛り込まれた意欲作だと思いました。
ミニゲームのクドさだったり、エンディングの賛否はあると思いますが、ゲームの根幹部分は『神ゲー』と言えるクオリティに達していると感じました。
一応、本作には前作のダイジェストも含まれているので、前作未プレイでも今作から遊んでみるのはアリだと思います。気になる人がいれば是非遊んでみてください。