【評価・レビュー】神ゲー『龍が如く8』のここがイマイチだった【良い部分・悪い部分を徹底解説】
先日発売された、舞台をハワイに映したシリーズ最新作『龍が如く8』ですが、90時間ほどプレイしてメインストーリーと大半のサブストーリーをクリアしたのでレビューを書こうと思います。
本レビューではストーリーに関する重大なネタバレを含むので、閲覧は自己責任でよろしくお願いします。
龍が如く8をプレイした率直な感想
詳細にレビューしていく前に、作品全体を通しての大まかな感想から話していきます。
『龍が如く8』は『龍が如く7』を正当進化させたゲーム内容になっていて、率直に楽しいと感じる作品だと思いました。神ゲーと言っても良いレベルでしょう。
特に、戦闘パートは格段に楽しく戦略的に進化しています。
位置取りや攻撃タイミングが戦況に大きく影響してくるので、常に緊張感が感じられ飽きがこないんですよね。仲間との連携を意識しながら戦うのが楽しいです。
ストーリーに関しては『7』が王道的なストーリーだったのに対し、『8』は展開が読みにくくリアリティのある描写になっていると感じました。『7』は王道なので、ある意味安心してプレイ出来たのですが、『8』は不安定な吊り橋を渡るような感覚なんですよね。このハラハラ感が個人的に好きですが、『7』よりも好き嫌いが分かれそうです。
サブコンテンツの出来も良く、特に『ドンドコ島(どうぶつの森のパロディ)』は本編を忘れて夢中になるぐらい楽しかったですね。
個人的にイマイチに感じたのは桐生一馬に関するエピソードですね。これについては、この後の【龍が如く8の悪い部分】で説明していきますが、ここだけもう少しなんとかして欲しかったです。
といった感じで、率直な意見をザックリと話しました。ここからは詳細なレビューをしていきます。
龍が如く8の良い部分
それでは早速、龍が如く8の良い部分をレビューしていきます。
リアリティがあり、先が読めない鬼気迫るストーリー
今作のストーリーはかなりリアリティ重視をしているように感じました。
と言っても、マフィア絡みの設定は明確にフィクションだと分かるものとなっているわけですが、人間関係や心理描写がリアルなんですよね。
例えば、冒頭で春日が紗栄子に告白するシーン。春日は見事に振られてしまうわけですが、多くの人が春日のような経験をしていると思うんですよね。イイ感じの雰囲気なのに何故か振られてしまって、その理由がよく分からないという…。実際、私も20歳頃に似たような経験をしていて古傷を抉られたような気持ちになりました…(笑)
また、その後の展開でもリアルな描写は続きます。
保身の為どっちつかずの行動を取り続ける人物がいるのですが、それが後に重大な問題を引き起こすことになってしまうのです。『7』では、自身を【正義】だと信じて思い切った行動をする登場人物ばかりでしたが、『8』の登場人物はそうではないんですよね。
白でも黒でもない”灰色”がリアリティのある人間模様であり、それが本作のテーマなのだと思います。
全体を通して”灰色”の展開が続くので、展開が読みにくく、常にハラハラとした鬼気迫るストーリーを実現出来ているんですよね。
エンディングについての感想
ストーリーで一番印象的だったのは、椎名林檎さんの楽曲『ありあまる富』を背景に展開されるエンディングですね。
『7』のラストで春日が荒川真斗に出来なかった事を実現するという展開。三田村英二は真斗ほど背景の掘り下げが無いので、受け入れがたい展開に感じる人も多いと思います。実際、三田村に仲間を殺されたのに救おうとする春日の行動に納得いかないのは普通だと思います。
ただ、この不可解さが逆にリアルだと思うんですよね。
現実の殺人事件でも、犯人の事をよく知らないのに、「この人にも事情があったはずだから、きっと償えるはず」と更生に期待する人が一定数いるわけですからね。
春日のように犯罪者に手を差し伸べる人もいれば、春日と三田村に向かってゴミを投げつける野次馬もいて(リアルのSNSを表しているよう)、『人の温かみと冷たさ』だったり『人間臭さ』が上手く表現されていて個人的にはかなり好きな展開でした。
過去作の主要キャラクターが再登場する桐生編が熱い
ストーリー中盤以降、桐生編が始まるのですが、ここでの主な展開は『桐生と所縁のある人物との再会』です。
『6』のラストで、”桐生一馬”という存在を世の中から抹消することを決めたので、表立って桐生を知る人物に会う事が出来なかったんですよね。
しかし、今作ではそういった人物と再開することになり、過去作をプレイしてきたプレイヤーとしては感慨深いものがあります。
特に意外だったのが、『2』で恋仲であった狭山薫との再会ですね。『3』の冒頭で少し顔を出して以来ずっと登場しておらず、このまま姿を見る事は無いと思っていたので意外なサプライズでした。
戦略性が大幅アップ!正当進化した戦闘システム
龍が如く8の戦闘システムは、基本的には『7』を踏襲しているものの、『位置取り』がゲーム性に大きく影響を与えるようになりました。一応、『7』にも位置取り要素はありましたがオマケ程度でした。それが『8』で大幅にテコ入れされたという事ですね。
本作の戦闘は基本的にはドラクエのようなコマンド式ですが、自由に歩いて位置取りを決める事が出来ます(敵や仲間はリアルタイムでうろうろしています)。
移動範囲は制限されているものの、相手の背後を取って攻撃すれば大ダメージを与える事が可能だったり、仲間と挟み撃ちにして大きなダメージを与える事が出来るわけです。さらに、追い打ちをかけたり、トラップに巻き込んだりすることも可能なので、連携がしっかりハマるとメチャクチャ爽快なんですよね。
ここまで説明してきたのは通常攻撃での連携ですが、極技(必殺技)を連携の起点とすることも可能です。
戦闘の難易度も結構高めで、上手くシステムを活用する必然性があるのが良かったです(ただ、中盤以降登場するレベリング用ダンジョンで、いくらでもキャラクターを強化出来てしまうので、後半は結構ヌルゲーになってしまいました)。
どうぶつの森のパクリ!?ドンドコ島が楽し過ぎる
龍が如くシリーズと言えばサブコンテンツの充実ぶりが魅力の1つですが、本作で特に楽しかったのは『ドンドコ島』ですね。
フジテレビが権利を持つキャラクター”ガチャピン”と”ムック”が住む島で『どうぶつの森』のようなコンテンツが楽しめるのですが、これがホント楽しいんですよね。
私は『どうぶつの森』をプレイしたことが無いので再現度は分かりませんが、以下の活動をしていくことになります。
- 土地を整地する
- 資源を集める
- 建物を建築する
- 家具を配置する
- 住民を集める
- 5つ星のリゾートを目指す
ストーリー上は2、3日の間だけドンドコ島に滞在することなってるのですが、夢中になり過ぎて30日間ぐらい滞在することになるんですよね。リアル時間だと十数時間と言ったところでしょうか。
かなり中毒性の高いコンテンツですが、UIや機能面が若干不自由なので、アプデで改善するともっと良くなると思いました。
その他、良かった部分
その他、良かった部分をザックリ紹介します。
- イベントシーンのキャラクターの表情がよりリアルになった
- 冒頭で春日たちが堅気として生活している姿が見られる
- お馴染みの仲間が『7』の時とは異なる顔を見せてくれる(特にソンヒの豹変ぶりは面白い)
- 日常的な会話が繰り広げられる宴会トークや絆さんぽが楽しい
- 相変わらず時事ネタが豊富(T.M.Revolutionのオマージュ、マッチングサイト、ポケモンバトル)
龍が如く8の悪い部分
続いて龍が如く8の悪い部分をレビューしていきます。
春日たちが桐生の存在を知ったエピソードが描かれていない
個人的にずっと気になっていたのがこれですね。
『7』では桐生は春日たちに正体を隠していたわけですが、『8』では当たり前のように皆に周知されているんですよね。
てっきり桐生が春日に正体を明かす場面が描かれると思っていたので、全くその部分に触れられなかったのはちょっと残念ですね。『7』の大解散以来の再会だとしても、妙に桐生と春日たちの距離感が近いのは違和感を覚えました。
桐生はテレビニュースに映っていたり、『5』では遥が桐生と家族であることを暴露しているので、知っていて当然ではあるのですが、『7』での演出と整合性が取れていないのが気になりました。
名前を消した桐生が自身の存在を他人に明かし過ぎ
桐生の言動にもイマイチ納得がいかなかったですね。
『7外伝』で自身の正体を明かせば【沖縄の子供たちもペナルティを受ける】ことを知っているはずなのに、「この人ならまぁいいだろう」といった感じで正体を明かしてしまうんですよね。
『7外伝』の時もそうでしたが、【名前だけしか隠してない】んですよね。
桐生の覚悟が中途半端に感じてしまい、あまり印象が良くないというのが率直なところです。
ただ、『エンディングドラマ』を最後まで進める事で、その不満がある程度は解消されるのは良かったです。
桐生編のメインストーリーとサブストーリー時系列が嚙み合わない
桐生編のサブストーリーはメインストーリーと深く関連していることもあり、メインストーリーを最終盤まで進めているとサブストーリーの展開が不自然に感じました。
私が桐生編のサブストーリーを本格的に進めたのは最終章に入ってからだったのですが、最終章は桐生の存在が暴露され世間に拡散された後なんですよね(テレビ放送&チャンネル登録者数500万人のVTuberによる暴露)。そして、桐生の服装もシリーズでお馴染みのものになります。
桐生編のサブストーリーはこの暴露が行われていない前提で展開されるので、結構違和感がありました。なので、桐生編のサブストーリーは最終章の前に完了させておくのがオススメですね。
ブライスの正体が思ったよりも小者だった
春日編の黒幕とも言えるパレカナ代表のブライスですが、思った以上に小者でしたね。
ブライスが最初に登場した時、超能力的なもので銃を暴発させたり、ウォン・トー(ガンジョー総帥)やドワイト(バラクーダ総帥)がブライスを極度に恐れていたのに、結末を見ると大したことの無い小者なんですよね…。
あの銃の暴発は偶然だったんですかね。だとすると、銃が暴発しなければ、あのままガンジョ―の構成員に殺されていたということになるわけですが…。
公式トレーラーのネタバレが致命的
個人的に龍が如く8の公式トレーラーやTVCMのネタバレはもう少し配慮して欲しかったですね。
桐生一馬が癌で余命残り僅かであることをトレーラーやTVCMで明かされてしまうのは、やり過ぎだと思いました。
注目を集める目的としてはこの上ない方法だとは思うんですが、これってゲーム本編でも一、二を争う重大事実なんですよね…。人によってはトレーラーが展開のピークだと感じた人は多いと思います。
その他、気になった部分
他にも細々と気になった部分があります。
- 趙天佑とハン・ジュンギがメインストーリーにほとんど関わらない
- セリフの末尾をスキップすると、次のシーンの演出までスキップされる場合がある
- トミザワ(井口理)だけカラオケが無い
- 佐々木(冒頭の元ヤクザ)や、高部(星龍会)のその後に言及無し
- 春日の弟分であるミツの登場無し
- 追憶ダイアリーがあっさりし過ぎ(せめてボイスが欲しい)
特に追憶ダイアリーは桐生編の肝とも言える要素なので、もう少し力を入れて欲しかったですね。宴会トークはフルボイスなのに、ストーリー的に盛り上がる部分がボイス無しなのは物足りないと感じました。
龍が如く8の得点
※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。
項目別評価
- グラフィックス ☆☆☆☆★
- キャラクターのグラフィックや表情がよりリアルに
- サウンド ☆☆☆☆☆
- 声優・俳優の演技力は素晴らしい。今作は通常戦闘のBGMもカッコイイ
- 熱中度 ☆☆☆☆☆
- ハラハラする展開で先が気になる。戦闘も気持ち良く夢中になれる
- ボリューム ☆☆☆☆☆
- メインストーリーとサイドコンテンツを一通り遊べば100時間前後のボリューム
- 遊びやすさ ☆☆☆☆☆
- 大きな不満は無し。『7』の時よりもファストトラベルがしやすくなった
龍が如く8は神ゲーと言える作品だが、事前知識は必須と言えるので注意
といった感じで『龍が如く8』のレビューをしました。
ストーリー展開、基本的な遊び易さ、戦闘システムの楽しさ、ファンサービスなど隙の無いクオリティで『神ゲー』と言える作品だと思いました。
ただ、ストーリー的に『この世から存在を抹消した人物』を活躍させる以上は仕方ないのかも知れませんが、桐生一馬の覚悟の甘さが気になりました。そこだけはどうしても中途半端に感じてしまいますね。
また、桐生編の大部分はファンサービスとなっているので、100%楽しみたければ過去作品を全て遊んでおく必要があります。『7』はシリーズ初プレイでも十分楽しめる内容だっただけに、今作は遊ぶのハードルが結構高めなのは注意が必要です
龍が如くシリーズ過去作品はPS4向けにリメイク版やリマスター版が発売されています。未プレイの人はこれを機に遊んでみてはいかがでしょう?