イジメは法で裁くべきなのか?
あなたはイジメを法で裁くべきだと思いますか?
PS5、PS4などで絶賛発売中のキムタク主演の『ロストジャッジメント』では、イジメをテーマにしたストーリーが描かれていましたが、最終的には『法律の不完全さ』を痛感するような結末となっていました。
今回は、ロストジャッジメントの考察というよりは、「現実世界のイジメを法で裁くべきなのか?」を主なテーマに話していきたいと思います。
なお、一部ロストジャッジメントのネタバレも含みますので、その点はご了承ください。
この記事の目次
結論:イジメを法律で裁くのは現実的ではない
早速、結論から言ってしまいますが、「イジメを法律で裁くのは現実的では無い」というのが私の考えです。
何故そう思うのかをいくつかの項目に分けて解説していきます。
日本のイジメの多くは暴力よりも嫌がらせがメイン
日本のイジメは嫌がらせを中心とした陰湿なものが多いそうです。
日本のイジメは海外に多いの暴力的なイジメが多いとは対照的なので、「日本のイジメは大したことないのでは?」と錯覚してしまいそうになりますが、嫌がらせなどの陰湿なイジメは発覚するのが遅く手遅れになりやすいという特徴があります。逆に、暴力によるイジメは体に証拠が残るので、すぐに発覚し解決も早いと言われています。
暴力と違って嫌がらせは曖昧な行為です。
例えば、器物破損のような犯罪行為もあれば、「シカト・無視」、「仲間外れ」、「イジリ」といった誰もが一度は経験したことがあるようなものも嫌がらせに含まれるわけです。
この曖昧さが法規制を困難なものにしています。
イジメと喧嘩の境界が曖昧
さらに、イジメと喧嘩の境界が曖昧という問題もあります。
イジメはなくとも喧嘩は一度は誰もがしたことがあるはずです。
イジメと喧嘩の違いは何でしょう?
一方的に被害にあっていたらイジメでしょうか?
そうだとすると、イジメ被害者が勇気を出して反撃をしたら、一方的ではなくなりイジメの定義から外れてしまいます。客観的に見てもイジメではなく喧嘩になってしまうと思います。
イジメは冤罪が起こりやすい
「その場の雰囲気でイジメか喧嘩の違いは分かるでしょ?」という意見もあるかと思います。
確かにその通りだと思います。
しかし、そこには思い込みや偏見が含まれる可能性があります。
例えば、「あいつは性格が悪いから喧嘩ではなくてイジメをしている!」と言って、イジメ加害者のレッテルを貼る可能性は容易に想像できます。
こういった証言を基に裁くことが出来てしまったら冤罪が頻発することでしょう。
徹底した監視社会にする必要がでてくる
勿論、思い込みや偏見による冤罪を防ぐ事も可能だとは思います。
冤罪を防ぐには物的証拠が必要になります。
その為には、学校中に監視カメラや盗聴器を設置して徹底的に生徒を監視し、更に、生徒のスマホやパソコンの履歴も随時チェックする必要もあるはずです。
おそらく、それでイジメや冤罪の大半は防げるはずです。
しかし、そんな息苦しい生活を望む子供はいないと思います。
イジメを法律で裁いて損をするのは傍観者である理由
イジメを法規制して困るのは加害者よりも傍観者である私達だと思います。
法律で裁かれるのは軽微なイジメ加害者が大半であり、傍観者も含まれかねない
先ほど言った『監視』が徹底されずイジメが法規制されれば、さほどイジメに関与していない人まで裁かれる可能性が高まります。
思い込みや偏見でイジメ加害者にされる可能性もありますし、もっと言えば気に食わない相手に対して濡れ衣を着せることも出来てしまうんですよね。
要するに、法律の悪用も出来てしまうわけです。
なので、イジメの法規制と監視はセットで行う必要があると考えます。
監視されることの息苦しさ
イジメの物的証拠を得るために監視する場合、精神的なストレスを感じるのは一般的な生徒です。
これは私の想像ですが、イジメ加害者(というよりは素行が悪い人)は監視されてイジメが出来ないと分かれば、他の場所で捌け口を見つけ発散すると思います。
しかし、真面目な人はそうもいかず発散出来ず、ストレスを貯め込んでしまうケースが多いと思うんですよね。社会人で先輩の監視に耐えられず鬱病になってしまうというケースはよく耳にしますからね…。
監視されなくても言論は制限される
それに監視されてなくても、日頃の言動に神経を使うようになると思います。
誰にでも気の合わない人が1人や2人いるはずです。
そういう人に対して、イジメでなくても無視してしまったり、キツく当たってしまう事はあり得ると思います。
しかし、イジメが法規制されれば、そういう行動すら罰せられる可能性があるという事なんですよね。
イジメ加害者にとっては”公平性”が生まれる
余談ですが、もしかするとイジメ加害者的には「法規制はされても構わない」と思っているかも知れません。
なぜなら、イジメ加害者は自分だけが制裁を受けることに不満を感じるからです。
実際、ロストジャッジメントのイジメ加害者である間宮由衣は「少なからず誰もがイジメに加担しているのになんで私だけ…」などと不満を漏らしているわけです。
こういった不満が生まれるのはイジメが法規制されていないからであり、法規制して軽微なイジメも公平に裁かれるようになれば不満も減ると考えられます。
現実的なイジメ対策
というわけで、イジメを法規制するのは現実的ではないというのが私の考えです。
ではどうやってイジメ対策をするのかというと、大まかには下記の通りです。
- 殺人、傷害、脅迫、名誉棄損等に該当するものは既存の法律で厳格に裁く
- 法で裁けないイジメに関しては、傍観者が声を挙げて止める
- 『イジメを止める教育』を徹底する
どれも当たり前のことですが、3つ目の『イジメを止める教育』を徹底するが特に重要だと思います。
「傍観していることが悪い事」なんて誰でも知っているわけです。でも、止められない。リスク無くイジメを止める術を知らないから傍観してしまうのだと思います。
だから、教育が必要なんですよね。
『イジメを止める教育』を徹底し、正しいイジメの止め方を学べば、リスクを最小限にイジメを止めることが出来るようになるので、傍観する生徒は減るはずです。
ロストジャッジメントでも語られているように、イジメは人間本能の名残によるものでもあるので、起きてしまうことは避けられません。いかにして早期にイジメの芽を摘むかが重要だと思います。そのためには、私達一人一人が傍観せずに行動を起こすことが必要です。