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投稿日:2021年11月02日更新日:2021年11月02日

【ロストジャッジメント】間宮由衣がストーリーに深みを持たせた良キャラである理由【イジメ問題・ネタバレ】

ロストジャッジメントの登場人物の中で最も嫌われているとキャラと言えば、満場一致で間宮由衣だと言えるでしょう。

間宮由衣はイジメ加害の主犯格であり、被害者を自殺に追い込んだにもかかわらず、反省するどころか開き直って逆切れするぐらいとにかく性格が悪いんですよね。

しかし、間宮由衣はロストジャッジメントのストーリーに深みを持たせている良キャラであり最優秀助演女優であるとも言えると思います。

今回はその理由について解説していきたいと思います。

【SNSの反応】満場一致で嫌われるイジメ加害者 間宮由衣

間宮由衣に対するSNSの反応をまとめました。

皆さん、なかなかヘイトが溜まっていますね・・・(;^ω^)

間宮由衣がロストジャッジメントのストーリーに深みを持たせている理由

ロストジャッジメントの最優秀助演女優とも言える間宮由衣が、ストーリーに深みを持たせている理由についていくつかの項目に分けて説明していきます。

間宮由衣の”あのセリフ”が現実のイジメの実態を表してる

間宮由衣は「イジメ加害者のあなたも異常者に見える」と言った杉浦に対し、次のような逆切れ発言をしました。

本当にそう?
似たようなことをあなたは絶対にやってない?
自分より弱い子に意地悪したことは?
みんなと示し合わせて人を無視したことは?
……誰だってやってる!
私たちはその相手にたまたま飛び降りられて、たまたま隠し撮りされてた!
よりによってなんで私がこんな目に……

この逆切れ発言ですが、現実でのイジメの本質を表していると思うんですよね。

正直、この発言が無ければ「イジメ加害者が悪い」で終わってしまい、何の広がりも無かったと思うんですよね。この発言があることで「イジメは間宮由衣のような”分かりやすい加害者”だけがやっているわけではない」という事を再認識することが出来るわけです。

あえてこの台詞を入れたという事は、製作者的にも「イジメ問題をよく考えてもらいたい」という意図があったのだと思います。

何気ないことがイジメの引き金になる

間宮由衣は”分かりやすい加害者”ですが、作中では様々なイジメが描かれています。

例えば、香田さんのイジメ問題を調査する際に、八神が聞き込みをしたバスケ部。彼らの言動もイジメに片足を突っ込んでいると思います。

彼らは、軽いノリで香田さんが御子柴からセクハラを受けている事を”厚い指導”などと言っていました。内心は「御子柴はヤバいかも…」と思っているかも知れませんが、”正常化バイアス”がかかり、そういった軽い言動を取ったのかも知れません。しかし、香田さんからしてみれば、彼らもまた御子柴からのセクハラを茶化す加害者なんですよね。

また、サイドストーリーであるユースドラマでは糸倉古都子に対するイジメ問題が描かれています。

糸倉は文化祭実行委員会を指揮する立場でしたが、独裁的な行動が理由でメンバーからシカトされ、不登校になってしまったわけです。

糸倉は香田さんの時とは異なりイジメ被害者に落ち度があるケースですが、紛れもなくこれもイジメなんですよね。

しかも、糸倉をシカトしていたメンバーには仲が良かった鳥遊小舞夏も含まれていました。

鳥遊小のように場の空気に流され加害者側に回ってしまう、これは現実のイジメ傍観者にも重なる部分があると思います。

作中では謝罪して丸く収まったわけですが、現実では有耶無耶になってそのまま卒業するケースが大半だと思います。

積極的加害者と消極的加害者

間宮由衣が『積極的加害者』であるならば、鳥遊小のような人やイジメ傍観者は『消極的加害者』であると言えるかもしれません。

そして、多くの人が当てはまるであろう『消極的加害者』は『積極的被害者』以上に自分がイジメに加担したことを忘れてしまいます。なぜなら、『消極的加害者』は誰からも非難されることが無いからです。

勿論、『消極的加害者』は『積極的加害者』よりも加害レベルが低いので非難されないのは当然なのですが、いくら加害レベルが低かろうと小さなイジメも積み重なれば深刻なイジメに発展するんですよね。

もし、糸倉が自殺をしてしまったら、鳥遊小も間宮と同じように風当たりは強くなるでしょうから、「たまたま飛び降りられて、たまたま隠し撮りされてた!よりによってなんで私がこんな目に……」と言う間宮の逆切れ発言は理屈としてはその通りなんですよね。

『消極的加害者』は八神たちにも当てはまると思います。

八神はヤクザと繋がりの深い元チンピラ、海藤は元ヤクザ、杉浦は元窃盗犯であり、誰も罪も清算していないんですよね(現在も暴力的手段で物事を解決しがち)。そういう背景を踏まえると、彼らもまたイジメを傍観あるいは加害側だった可能性が高いわけです。

そういう人たちが間宮を説教しているのは正直違和感を覚えましたが、現実でも傍観者が自分の事を棚上げして加害者を非難しているわけなので、そういう意味ではリアルな表現なのかもしれません。

間宮由衣の言動は良くも悪くも”人間の本能”を表している

間宮の逆切れ発言は普通に考えれば最低なわけですが、良くも悪くも人間の本能を表しているんですよね。

自分の過失による『人の死』というのは、きっと誰にとっても受け止めきれない重過ぎる物です。それに加えて、守るべき子供や夫がいるとなると、なおさら本能的に現実から目を背けようとしてしまうのは理解出来るんですよね。

ましてや、間宮の場合、脅迫され殺人の手伝いをさせられているわけですから、本人が招いた事とはいえ被害者意識が出てしまうのも分からなくはないですね。

もし私だったら、自分の何気ない行動が相手を傷付けて自殺に追い込んでしまったら、「本当に自分のやった事が自殺の原因なのだろうか…?」と不満を漏らしてしまうと思います。

御子柴や間宮は「まさか自殺するなんて思わなかった」と言い、桑名や江原、楠本も「澤さんが犠牲になるなんて思わなかった」と言ってるように、重すぎる責任からは逃れようとするのが人間であり、弱さなんですよね。

間宮由衣のような分かりやすいイジメ加害者に制裁を加えるだけではイジメは無くならない

ここからは現実のイジメ問題によりフォーカスした内容になります。

誰もが傍観者であることから目をそむける現実

現実のイジメでは傍観者について言及されることはほとんどありません。それどころか、傍観者が「加害者が悪い」と言って、自身がイジメを止める責任から逃れようとしているのが現実です。本作においても間宮由衣にばかりヘイトが向くのはそういう事だと思います。

これは作中の黒川学園における川井信也に対する仕打ちと同じなんですよね。

黒川学園のクラスメイト半分がイジメ加害者であることが明らかにされています。であるならば、クラスメイト全員がイジメの事実を知っていてもおかしくないはずです。それなのに、分かりやすい加害者である川井一人に責任を押し付けているんですよね。つまり、彼らもまたイジメを傍観した責任から逃れたい一心だったのでしょう。

イジメは加害者と被害者だけではなく、傍観者を含めたコミュニティー全体の問題です。

「加害者が悪い」で済ませるのではなく、傍観者一人一人が当事者として行動を起こす必要があります。一人じゃ無理なら仲間を集めるでも、教師に相談するでも方法はあるはずなんですよね。

傍観者・被害者も気付いたときには加害者に

イジメ問題解決に傍観者が行動を起こすことは重要ですが、1つ問題があります。

それは傍観者や被害者が加害者に転じる可能性です。

作中でも説明があるようにイジメは『集団の中の異物を排除する本能的な反応』です。

つまり、イジメ加害者に制裁を加えることもにも当てはまるわけです。

もちろん、『イジメた悪い奴にお灸をすえる』という大義名分があるわけなので、ある程度は許容されるべきだと思います。しかし、行き過ぎた制裁は新たなイジメなんですよね。

「イジメ被害者は100%悪くない」という考えは本当か?

一般的に「イジメ被害者は100%悪くない」という言説がありますが、私はそれは違うと思います。

イジメには大きく2つの種類があります。

1つは『理不尽なイジメ』です。この場合は被害者は100%悪くありません。

もう1つは『理由のあるイジメ』です。この場合は被害者自身も自分を見つめなおす必要があると考えます。

具体例を挙げると、『協調性が無い』、『怒りっぽい』、『虚言癖がある』というように、コミュニケーションに難がある人は回りから距離を置かれがちです。作中だとユースドラマの糸倉古都子が当てはまりますね。

ただ、どちらのケースであれイジメ加害を肯定してはいけません

イジメ傍観者への教育が足りない

『イジメが悪いこと』という事は誰もが理解しているわけですが、それでも理性がコントロール出来ない未熟な人間が一定数出てしまうのが現実です。これは教育ではどうこう出来るものでは無いでしょう。

一方で、『イジメを傍観することが悪いこと』という事も誰もが理解しているはずです。分かっているのに行動できないのは有効な手段を知らないからだと思うんですよね。これは教育で改善することが可能だと思います。

私が学生だった頃、「傍観者でいることは駄目」ということは道徳の授業で教わった記憶がありますが、何一つ具体的な手段を教わった記憶が無いんですよね。

つまり、現実のイジメが無くならないのは、イジメ傍観者に対する教育が足りないという事を示していると思います。

学校教育でイジメに遭遇した際のシミュレーションをして体系的に対処法を学ばせることが必要だと思います。一度や二度だけではなく反射的に行動を起こせるぐらい繰り返し練習することが大切だと思います。

加害者に罰則を与えることは勿論必要ですが、その時点でイジメは深刻化してしまっているわけなので、それでは後の祭りなんですよね。傍観者の行動を変えることがイジメを無くす近道だと思います。

イジメ問題を考えるきっかけに。ロストジャッジメントを多くの人に遊んでもらいたい

ロストジャッジメントはただのエンターテインメントに留まらず、教育的なコンテンツでもあるという点が深いと思います。

特にこの作品が優れていると感じる部分が、「イジメは悪いことだ」と押しつけるのではなく、ストーリーを通じてプレイヤー自身が主体で「イジメは悪いことだ」と認識させるように設計されている点です。

プレイヤーに対して主体的に考える余地を与えることでイジメ問題を深く考える事に寄与しているわけです。

実際私も、イジメ問題をここまで深く考えたのはこれが初めてかも知れません。

それぐらい深い作品なので、未プレイの人はぜひ自分の手で遊んでもらいたいですね。

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ストーリー全体の考察、ゲーム全体のレビューは以下の記事にまとめているので良ければ参考にしてみてくださいね。

【イジメ】賛否両論なロストジャッジメントのストーリーを考察します【結末・ネタバレ】

【評価・レビュー】イジメを描く衝撃作!LOST JUDGMENTの良い部分・悪い部分まとめ

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