【評価・レビュー】龍が如く6をプレイした正直な感想。7つ良い部分、7つの悪い部分とは?
いよいよ桐生一馬の物語完結という事で発売されたPS4用ソフト「龍が如く6」。一通りクリアしたのでレビューを書きます。
全体を通しての評価は高いが過去作よりも劣っている部分も
プレイした感想をざっくりと言ってしまうと、演出面でのリアリティや爽快感は増したという点では非常に良かったと思います。ただ、リアルになった為なのか、それともシステムを一新した為なのかは分かりませんが、操作性が悪化してしまった点、ボリューム不足感という点では過去作よりも劣っていると感じましたね。
個人的には「わざわざシリーズ最終章でシステムを一新する必要はなかったのでは?」と思うんですよね。Amazonのレビューを見ても評価がイマイチなのは無理してシステムを一新してしまったからだと思うんです。一新するなら前作「極」や前々作「0」でやるべきでしたね。そうすれば今作では新システムにも慣れる頃だったはずなので評価が落ち込まずに済んだかもしれません。
さて、続いては個々の要素について、良い点、悪い点に分けてまとめていきます。
龍が如く6の良い点、オススメのポイント7つ
1. リアルな日本を再現したフィールドが感動的!
個人的に龍が如く6で最も気に入った部分がこのグラフィック。上の画像を見る限り、キャラクターのグラフィックはまだまだですが、日本独特の風景は実写そのものと言っても過言では無いクオリティだと思います。
なお、今回の舞台の一つである広島の尾道は実在する地名であり、各所は実物がモチーフになっています。例えば上の画像の歩道橋は以下の場所がモチーフですね。
地図で言うとこの辺りですね。
他のロケーションも実物がモチーフになっているのでストリートビューを併用するとゲームがより一層楽しめると思います。
フィールドはそこまで広くは無いのですが、ここまで忠実に日本の風景を再現したゲームは今まで無かったのでとても新鮮でしたね。夜の薄暗い雰囲気とかもリアリティがあってよかったです。
願うは海外ゲーの定番にもなっているオープンワールド化ですね。このクオリティでとてつもなく広大な日本のマップを作ってもらいたいです。そうすればただ歩くだけでも楽しいゲームになると思います。
2. マップがシームレスになりローディングが無くなった!
本作では路上と建物間の移動がシームレスになりローディング画面が無くなりました。これにより待ち時間が無くなったのでかなり快適になったのは嬉しい変化ですね。
また、シームレスになったことで戦闘にも変化が生まれました。例えば、コンビニや喫茶店の中でもバトルが行えるんですよね。戦略面では大した影響はありませんが店内を荒したり出来るので気分的にはこれまでとは大きな変化を感じました。
3. 全体的にシステムが快適に!
前述したシームレス化以外にもシステム面が大きく改善されて快適に遊べるようになっていますね。例えば以下のような変化があります。
- オートセーブが可能に
- 面倒だったアイテムボックス廃止
- 買い物・飲食などが快適に
- 段差や柵を飛び越えることが可能に
オートセーブになったことでわざわざセーブポイントまで移動する必要も無くなりましたし、持ちきれないアイテムを整理する手間も省けました。
また、今までは1品づつしか飲食出来なかったのが、まとめて食べられるようになったので、コンプリートするのが簡単になりましたね。それに食事をすることで経験値が得られるようになったので、食事が意味のある行為になっているのも良い変化だと思います。
移動面では柵を飛び越えたり、一部では建物の2階、3階から飛び降りることも可能なのでスピーディーでカッコいい移動が可能になったのも嬉しいですね。
4. より爽快感が増したバトル
バトルの進化も個人的にかなり良かったと思います。
今まではどこかぎこちないゲーム的な動きだったんですよね。しかし、今作では技と技の繋がりがスムーズになり「より人間らしい動き」になっているのが爽快感を高めていると思いました。
5. 有名人を起用したキャストはかつて最高に豪華
龍が如くシリーズと言えば有名人がそのままゲーム内に登場するのが恒例になっていますが、今作では今まで以上に豪華な顔ぶれです。
ヤクザ映画には欠かせないビートたけし、意外と演技派の宮迫博之、龍が如く3でも声優を務めた藤原竜也、他にも小栗旬、真木よう子、大森南朋といった豪華な顔ぶれなんですよね。
実在する人物がゲームに登場するのは何とも不思議な感覚で、それだけでも遊びたいという気持ちにさせてくれます。また、本人と同じ姿恰好の役柄という事もあってか演技にも違和感が無く楽しめました。
また、こちらも恒例となりつつあるセクシー女優の起用もあります。今作ではライブチャットのミニゲームでお目にかかる事が出来ます。ライブチャットにハマる硬派な桐生さんには笑えましたw
6. ライザップなどの有名企業とのとのコラボ
今までも有名企業とのコラボはありましたが、今作ではさらに力が入っていますね。特に謎のライザップ推しは「トレンドに乗ってみた」という事なんでしょうか?これをやって実際にライザップに入会する人がいるのか気になるところです(笑)
最初に紹介した尾道の方では個人店舗なんかも実物のものが起用されていたりもするので、「聖地巡礼」で地方活性化に繋がるかも知れませんね。
7. バーチャファイター5 FSやぷよぷよが遊べる
これも恒例ですが、ゲーム内に存在するクラブセガでは、「バーチャファイター5 FS」や「ぷよぷよ」を始めとした実在する様々なゲーム楽しめます。
特にバーチャファイター5 FSはミニゲーム扱いにするのは勿体ないぐらいのちゃんとしたゲームなので、「対戦格闘をやりたいけどバーチャファイター未体験」と言う人にはこれだけでも買う価値ありですよ(ただ、コマンドリストは無いのでネットなどで検索する必要があります)。
プラスポイントはここまで。
続いてマイナスポイントの紹介をしていきます。
龍が如く6の悪い点、オススメできないポイント7つ
1. カメラワークの悪化とダッシュ仕様の変化
前作と比較して悪化したと感じたのがカメラワークとダッシュ仕様なんですよね。
迫力を出すためにカメラとプレイヤーの距離が近くなったのですが、その分キャラクターで視界が塞がれたり周囲を見渡し難くなった為ストレスを感じるようになりました。
ここまではまだ良いんです。カメラ操作を自分でやれば良いわけですからね。
ところが、そのカメラ操作がダッシュ仕様の変化によって困難なんですよね。
どういう事かと言うと、今まではスティックを倒すだけでダッシュ出来る仕様だったのですが、今作では×ボタンを押さないとダッシュ出来ない仕様になったんですよね。そしてカメラ操作は右スティックを使うので、×ボタンでダッシュしている時は右親指が塞がってしまうのでカメラ操作が出来ないんです。
まぁこれも一応、進行方向に自動でカメラが向いてくれるのでレスポンスは悪いですが我慢出来るんです。
ところが、今回から搭載された主観視点移動モードでは方向転換するのにカメラ操作が必須なので、走りながら方向転換することが出来ないんです。リアルな街並みを主観視点で移動出来るのは嬉しい仕様なんですが、それが台無しになっていて非常に勿体ないと思いました。
他のゲームの主流である左スティック押し込み(L3ボタン)でのダッシュ移動にオプションで変えられるようにすべきだと思いますね。これだけでかなり遊びやすくなるはずです。
2. 移動が多く「お遣い感」が強い
このゲームには最近のゲームにはあって当たり前のファストトラベル機能が無いので、移動がとにかく多くて疲れます。
最初のうちは神室町や尾道の景観を眺める楽しみがあるので楽しめるのですが、毎回同じところを往復してばかりなので飽きてしまうんですよね。
また、サブストーリーを全て発見する為にもひたすら歩く必要があるので、もう少しなんとかならなかったのかなと思いますね。
新エンジン搭載で新しく生まれ変わったとは言え、基本的なゲームデザインが古臭いと言わざるを得ません。
3. 新アクションが限定的で活用しにくい
先ほどの長所の部分でも紹介した「飛び越え」アクションですが、実は少し中途半端なんですよね。
どういう事かと言うと、「飛び越えられる物と飛び越えられない物の違いが分かり難い」んです。
なので、飛び越えようと思って障害物に突っ込んでも「おっと…」と言って飛び越えてくれないので、あらかじめ飛び越えられる場所を覚えておく必要があるんです。良い要素なだけに残念だと思いました。
4. シリーズファンほどガッカリするラスト
ネタバレになってしまうので詳細は伏せますが、エンディングの展開はシリーズファンは納得いかない人が多いと思います。
過去シリーズであればどんなエンディングでも「次回作があるから」という事で納得いくんですが、今作は桐生一馬の最終章なので次は無いんですよね。次が無いのにあの終わらせ方は報われないと思いましたね。キャラクターに愛着が沸いてるファンほど納得いかない終わりだと思います。
なお、初めて龍が如くをプレイする方なら、こういう終わり方もアリだと感じると思います。
5. シリーズ最終章なのにお馴染みのキャラクターが脇役扱い
シリーズファンは最終章ということで馴染みのキャラクターが集結することを期待していたはずです。けど、そういった馴染みの面々は完全に脇役扱いでオープニングとエンディングでちょろっと出てくるだけです。正直、開発者はファン心理を理解していない気がしますね。
そして馴染みのキャラクターの代わりに大量投入されたのが実在する有名人。これはこれで面白いのですが、ファン向けというよりは新規ユーザーを取り込む事に重点を置いているように感じられました。
6. 素人声優が作品の質を低下させている
上に挙げた実力ある役者を起用するのは良いんですが、全く演技経験のない素人まで起用しているんですよね。
中でも酷かったのがストーリーにも絡んでくるジャスティスと言うグループ。このグループは新日本プロレスの面々がモデルになっているんですが、私は全くプロレスを知らなかったので「誰だよこの素人は・・・」と思ってしまったんですよね。そのぐらい演技は酷かったです。プロレスファンには嬉しいかも知れませんが、そうじゃなければ作品の質を下げるだけです。
また、シリーズお馴染みのキャバクラも素人起用で全然魅力を感じませんでしたね。せめて、外見か演技のどちらかが優れていないと全く楽しくないです。キャバ嬢モデルに選ばれた人にとっては芸能界デビューのきっかけになるかも知れませんが、プレイヤーにとっては全く嬉しくないんですよね。
7. 相変わらずの不自然な棒立ち会話シーン
主要なイベントシーンは映画さながらの力の入れようで素晴らしいのですが、それ以外の会話シーンは体を硬直させて棒立ち状態なんですよね。これもシリーズ恒例ではありますが、今作ではグラフィックが飛躍的に進化したことで不自然さが強調されてしまったように感じます。
こういう作りは国内ゲームに特に多い感じがしますね。海外のゲームは普通の会話シーンでも自然な仕草が盛り込まれていることが多いので見てて違和感が無いんですよね。
龍が如くシリーズは演出重視の作品だと思うので、こういう部分にもこだわって欲しかったです。
龍が如く6の得点
※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。
項目別評価
- グラフィックス ☆☆☆☆☆
- 日本ならではの景観をリアルに再現したフィールドは必見!
- サウンド ☆☆☆☆★
- 基本的には高品質だが、素人を起用したことで部分的にクオリティが低い
- 熱中度 ☆☆☆★★
- ストーリー的は熱くなる部分も多いが、移動の多さやカメラワークの悪さで熱が薄れる
- ボリューム ☆☆☆★★
- 新システム開発にコストを割いた為なのか、遊べる要素が従来作品と比べ少ない印象
- 遊びやすさ ☆☆☆★★
- 改善した部分もあれば悪化した部分もあり。海外のゲームに比べると煩わしく感じる部分が多いかも
龍が如く6はオススメか?
オススメ出来るか出来ないかですが、シリーズ最終章ということなのでファンであれば買うしかないですね。
ではシリーズ未経験の人はどうか?
むしろ未経験の人の方がオススメだと思います。一応過去作品のあらすじも見れるので本作だけでも楽しめますしね。
色々と酷評をしましたが、基本的には良ゲーの部類に入るので、買って損することは無いハズです。むしろ「国産ゲーでもここまでやれるんだな」と日本メーカーの底力を感じる事が出来る一本だと思います。
また、龍が如くシリーズで一番面白いと思ったのは龍が如く0ですね。「これぞ極道世界」と言う衝撃的なストーリーが良かったです。サブクエストやミニゲーム要素も充実していてとても楽しめた作品です。
あとは龍が如くを語る上で絶対外せない1作目のリメイク作品である龍が如く極もオススメです。0と比べるとボリューム不足感は否めませんが良作だと思います。
これから龍が如くシリーズをプレイしようと思っている人は、「極」→「0」→「6」の順で遊ぶと良いと思います(全部PS4で遊べるので)。他の作品はPS3を持っているなら遊んでみるのも良いと思います。