ゲーム
投稿日:2023年05月29日更新日:2023年05月29日

【なぜ炎上?】メタルギアソリッド3リメイクの問題点を徹底解説します【メタルギアソリッドΔ】

先日、メタルギアソリッド3のリメイク作品『メタルギアソリッドΔ(デルタ)』の制作発表があり、大きな賑わいを見せていますが、肯定的な声だけでなく否定的な声も挙がっています。

長年のファンにとっては周知の事実だと思いますが、メタルギアの生みの親である小島秀夫監督と、監督がかつて在籍していたコナミには深い確執があります。

5月25日、コナミが運営するメタルギア公式Twitterアカウントから『メタルギアソリッドΔ(デルタ)』の制作発表があったわけですが、小島監督はこのツイートに一切反応を示しませんでした

しかしその翌日、小島監督は人気ゲーム配信者の弟者さんのメタルギアソリッド4配信の報告ツイートをリツイートしています(弟者さんがツイートした日は22日ですがリツイートしたのは26日)。

この一部分を見ただけでも、小島監督とコナミに深い確執があることがハッキリと伝わってくるはずです。

というわけで、今回はメタルギアソリッド3のリメイク作品『メタルギアソリッドΔ』の制作にまつわる炎上理由と問題点について徹底解説していきます。

小島監督とコナミの確執は解雇が原因!?両者の主張・立場は?

両者の確執は小島監督が解雇されたことが原因と言われています。

コナミと小島監督は『解雇』という表現は使っていませんが、海外メディア報道やスネーク役を演じる大塚明夫さんのツイート内容から察するに、小島監督が自ら望んで退社したとは考えにくいですね。

また、小島監督が退社した直接的な理由は公表されていませんが、利益追求を最優先にとする経営側、クリエイティブを追究する監督側で意見が分かれたことが原因と考えられます。

「小島監督が経営側から提示された予算・スケジュールを守らなかった」という噂もありますが、メタルギアシリーズは取引先から依頼を受けて制作するクライアントワークとは違う為、予算もスケジュール変更も社内の都合で調整出来るわけです。そもそも、『ファンが求めるメタルギア』を実現するには、コナミが提示した予算・スケジュールでは全然足りなかったという見方も出来ます。

ちなみに、メタルギアソリッド5の開発費は100億円程と言われていますが、今の時代AAAタイトルの開発費はこのぐらいするのが一般的です。

経営側の利益追求という考えも重要ですが、クリエイティブは単純作業ではないので、経営側からすれば”無駄なモノ”でも、作品のクオリティを高める為には必要になってくるのです。それが利益にも繋がるということは、メタルギアシリーズが証明しています(メタルギアソリッド5 ファントムペインは世界600万本の販売本数を記録)。

また、小島監督はコナミを退社後にインタビューで「目先の利益を追えば時代に取り残され、再び追いつくのは不可能になる」と発言しています。その発言を裏付けるかのように、小島監督は独立後の初タイトル『デス・ストランディング』では時代の最先端を行くゲーム性とテクノロジーを取り入れ大成功を収めました。

一方で、コナミの家庭用ゲーム機事業は壊滅的です。ご覧いただくと分かるように、スポーツゲームの最新年版やレトロゲームの移植ばかりで新作タイトルがほぼありません。

『経営方針』といえばそれまでかも知れませんが、コナミにとってゲーム事業は過去の資産で利益を上げる為に存在し、「クリエイターを育成する」という考えはあまり無いのかも知れません。

小島監督解雇騒動はメタルギアソリッド5にも大きな影響を及ぼした

小島監督解雇騒動はメタルギアシリーズのナンバリング最終作『メタルギアソリッド5 ファントムペイン(MGS5 TPP)』にも大きな影響を及ぼしました。

この項目は今後MGS5 TPPをプレイする予定の人のモチベーションを下げる可能性があるのでご注意ください。

【評価・レビュー】まさかの結末でガッカリな『MGS5 TPP』。スピンオフとして発売すれば神ゲーだったかもしれない理由

未完成のまま発売されたメタルギアソリッド5 ファントムペイン

MGS5 TPPをプレイ済みの人は大半の人が感じたはずですが、明らかに未完成な状態なんですよね。

唐突にエンディングを迎えますし、エンディングには過去作のような濃厚なメッセージ性が無いんですよね。『ネタ晴らしをして終わり』、みたいな感じになっています。

また、スペシャルエディションでは本編に収録される予定だったエピソードの開発映像が見られますし、有志の方がデータ解析した結果、『第3章:平和(Peace)』の存在も明らかになっています。

要するに、小島監督の構想ではもっと丁寧にエンディングを描くはずだったと考えられるわけです。

また本編以外にも、2章のサイドミッションが1章の使い回しばかりで、明らかに予算・スケジュール不足を感じさせる内容なんですよね。

単にコナミが予算を増やさなかっただけなのか、既に小島監督の退職日が決まっていて無理矢理間に合わせたのかは分かりませんが、MGS5 TPPは未完成であると言わざるを得ません。

コナミ経営陣はユーザーが求めるものを理解していない

そもそもの話として、コナミ経営陣は「ユーザーはメタルギアソリッドに何を求めているか?」を理解していないと思います。

  • 最先端の映像表現とテクノロジー
  • 濃厚なストーリーとメッセージ性
  • ギミックに富んだステルスアクション
  • 小島秀夫ならではのエッセンス

これらが合わさったものがメタルギアソリッドであり、シリーズファンはこれを求めてきました。

そして、これらを実現するには膨大な予算・スケジュールと小島監督の存在は欠かせないのです。

どれか一つが欠けても世界的大ヒットは無かったと思います。

『パッケージの裏』や『コントローラー端子』のアイデアは小島監督ならではの発想で、子供の頃にリアルタイムで遊んで「おおー!すっげー!」と感動したものです。

小島監督独立後の初作品デス・ストランディングはメタルギアに匹敵する大ヒットを記録

先ほども少し触れましたが、小島監督は独立後に初めてリリースした作品『デス・ストランディング』は、メタルギアシリーズに匹敵する大ヒットを記録しています。

【評価・レビュー】神ゲー?クソゲー?デス・ストランディングの良い部分、悪い部分まとめ

デス・ストランディングは世界500万本の販売本数を記録しました。

この数字はPS4とSteam版のみを集計したものであり、のちに発売されたPS5版(ディレクターズカット)は含みません。つまり、実際はこれよりも売れているという事です。

開発費は80億円と言われていますが、定価6,900円で500万本販売なので単純計算で345億円の売り上げで、コジマプロダクションの取り分を半分としても十分黒字ですね。

新規IPなのにメタルギアと大差ない売り上げは驚異的です(MGS5 TPPは600万本を販売)。

それだけ小島監督をリスペクトする人が多いという事であり、小島監督だからこそメタルギアというブランドをここまで大きく出来たと言えるでしょう。

ちなみに、利益的にはデス・ストランディングよりもメタルギアソリッド5の方が大きいと思われます。

MGS5 GZ(定価2,839円)とMGS5 TPP(定価8,400円)の分割販売で、それぞれ世界600万本ずつ売れていると考えると、674億円程の売り上げになります。コナミの取り分が40%強と言われているので大体300億円ほど、そこから開発費の100億円を差し引いて、200億円の利益といった感じでしょうか。

メタルギアリスペクトと小島秀夫監督リスペクトの違い

今回の炎上騒動は解雇問題以外にもいくつか要因がありますが、その1つが『メタルギアをリスペクトする人と、小島監督をリスペクトする人の立場の違い』があると考えられます。

メタルギアをリスペクトの特徴

メタルギアをリスペクトする人は、単純にメタルギアという作品自体を評価します。

リメイクでより良い作品に生まれ変わるなら肯定的に受け取りますし、純粋に発売を楽しみにしている人も多いと思います。

ただ、一部には”原作厨”と呼ばれる「リメイクを絶対に許さない」という派閥も存在します。

小島監督をリスペクトする人の特徴

小島監督をリスペクトする人は道徳的な部分を優先します。

作者へのリスペクトが無ければ、いくら良いリメイク作品であっても否定的に受け取ります。

小島監督のケースで言えば「小島監督と和解しないままリメイクを制作されても応援出来ない」という思いが強いです。あえて強い言葉で言うならば、小島監督の敵に利することになるわけですからね。

・・・

メタルギアリスペクトも小島監督リスペクトも価値観の問題なので、どちらが良くてどちらが悪いということはありませんが、私自身がクリエイターとして活動していることもあるので、小島監督をリスペクトしたいという気持ちが強いですね。

なお、今回の炎上騒動は『メタルギアをリスペクトする人』と『小島監督をリスペクトする人』以外にも、メタルギアや小島監督のアンチが便乗して騒いでいたり、事情をよく知らない人が安易に口を挟んでいるケースも多いでしょうから、必要以上に炎上しているようにも思えますね。

メタルギアソリッドΔはあくまでオリジナル準拠のリメイクになる模様

炎上騒動の話は一旦置いておいて、『メタルギアソリッドΔ』の内容について話したいと思います。

ストーリーやゲームデザインを忠実に再現しつつ、新要素を加えたリメイク作

メタルギア公式アカウントがこのように明言しているので、根幹部分に関してはグラフィック以外は大きな変更は無いと考えられます。

以前、フロムソフトウェアの『死にゲー』の原点である『デモンズソウル』がPS5向けにリメイクされましたが、それに近いリメイクになるのではないでしょうか。

【評価・レビュー】PS5版デモンズソウルが神ゲーである5つの理由、4つの欠点

なお、キャラクターボイスはオリジナル版を流用するとのことです。

『新要素』については、キャラクターボイスの新録が無いことを考えると、イベントが絡まない要素になると思われます。おそらく、収集要素やチャレンジメニューの追加でしょう。

操作時のキャラクターモーションはグラフィックに合わせて一新されると思いますが、操作感に影響するかは微妙なところですね。デモンズソウルのリメイクではモーションは一新されたものの操作感はそのままでしたからね。

なお、原作準拠でグラフィック中心のリメイクであれば、小島監督不在でもクオリティ的な影響はほとんど無いと思います(デモンズソウルのリメイクもフロムソフトウェアの監修を受けずとも期待以上のクオリティを実現したので)。

なぜ、1作目ではなく3作目のリメイクなのか?

今回のリメイクについて、「なぜ、1作目からではなく3作目のリメイクなのか?」という疑問があると思います。

答えは単純で『シリーズで一番売れる見込みがあるから』でしょう。

ここまで話してきたように、コナミは利益を最重要視する方針と考えられるので、一番評判の良い3作目のリメイクを決定したと考えられます。

メタルギアソリッドΔの販売本数を見て、十分な利益が得られると判断すれば、1作目、2作目、4作目のリメイクも行うと思います。

ただ、未完成で発売されたMGS5 TPPの続きを作る可能性は低いと思います。完成品のグラフィックを差し替えるのと、未完成品の続きを作るのでは開発コストが違いますし、そもそもメタルギアのストーリーは小島監督にしか作れないからです。

所属クリエイターは悪くない!コナミ経営陣は小島監督と和解すべき

小島監督を追い出し権利を独占し、和解しないままメタルギアソリッドをリメイクするのは”不義理”であると私は思います。

噂のように小島監督がコナミが提示した予算・スケジュールに従えなかったとしても、小島監督がメタルギアという資産を生み出し、コナミが膨大な利益を得ていることは事実なわけです。

契約上はコナミが正しくても、道理的には正しいとは思えない」というのが私の意見になります。

また、”不義理”なのは経営陣であり、所属クリエイターに責任はありません。しかし、”批判の矛先がクリエイターに向けられる”という理不尽な事態が少なからず見受けられます。

所属クリエイターの中には小島監督と一緒に仕事をしていた人もいるでしょうから、小島監督をリスペクトしている人も多いと思うんですよね。

コナミ経営陣は所属クリエイターを大切に思うなら、小島監督と和解するよう尽力し、所属クリエイターを不当なバッシングから守るべきだと思います。そして、所属クリエイターには気持ち良くゲーム開発出来る環境を用意してあげて欲しいと思います。今の状況で開発を進めるのは心苦しいと感じる人も多いでしょうからね。

小島監督を応援するなら『デス・ストランディング』をプレイしよう

というわけで、メタルギアソリッド3リメイクの問題点を解説してきました。

あなたはこの問題どのように感じましたか?

なお、メタルギアシリーズを購入しても小島監督には一銭も入りません。

これからも小島監督にはメタルギアシリーズのような名作を生み出して欲しいと考えるなら、コジマプロダクションが制作した『デス・ストランディング』を購入して応援しましょう。

なお、デス・ストランディングは続編も開発中で完成が楽しみです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事のご意見・ご感想は下記ツイートに返信お願いします!

今注目のPS5・PS4ソフト

PS5本体の購入・予約はこちら

Amazonでも普通にPS5が購入可能になりました(一部のエディションを除く)! PS5に最適化したゲームはロード時間がほぼ無いので快適なプレイが楽しめますよ!