ラスアス2の復讐劇の原因を作ったのはジョエルか?それともアビーの父親か?
PS5向けリマスター版が発売されるThe Last of Us Part II (ラストオブアス2)ですが、今回はラスアス2のストーリーのテーマである「”復讐”の原因を作ったのは誰なのか?」という話をしたいと思います。
当然ですが核心的なネタバレを含むのでご注意ください。
ラスアス2はエリーとアビーそれぞれの復讐の物語
本題に入る前にざっくりとラスアス2について話しておきましょう。
ご存じの通り、ラスアス2はエリーそしてアビーの復讐の物語です。アビーは父親を殺したジョエルに復讐し、エリーはジョエルを殺したアビーに復讐することで、2人は混沌に飲み込まれていきます。
アビーは前作の主人公であるジョエルを殺害した張本人ですから、嫌う人も多いと思います。
しかし、アビーはジョエルに父親を殺されているので、殺人事件の被害者遺族でしかありません。ラスアス2の世界が法の機能する世界であれば、ジョエルは法に裁かれアビーが手を下す必要もなかったはずなので、本来なら純粋な被害者なんですよね。
しかし、ラスアス2は法が存在しない世界なので、今作のような『復讐の連鎖』を生むことになるわけです。
エリーとアビーの物語については以下の記事で話しているので、良かったらご覧ください。
【PS5リマスター版発売】ストーリーが酷い?ラスアス2の魅力を改めて語る【The Last of Us Part II】
アビーの父親はジョエルに殺害されても仕方がなかったのか?
ジョエルがアビーの父親を殺害したのは、娘同然に思っていたエリーを助ける為だったわけですが、それではアビーの父親が復讐劇の原因なのでしょうか?
次のように考える人は多いと思います。
「アビーの父親が、ジョエルとエリーに手術の同意を取っていれば殺されなかったのでは?」
一理ある意見だと思います。
現実世界では、当事者の同意無しに命を犠牲にする手術なんて許されないわけですからね。
しかし、ラスアス2は法が存在しない世界であり、エリーの抗体は人類を救う最後の希望で、選択の余地が無かったのが実際のところなんですよね。同意が取れなくても手術を決行するしかない状況にまで、人類は追い込まれているわけです。
アビーの父親はワクチンを作れる唯一の医師だったので、人類の命運を託された存在として相当な責任を抱えていたと思うんです。代替手段が存在しない世界で、「手術しない」という選択をすれば、人類の未来は途絶えてしまいます。
ジョエルからしたらアビーの父親は「殺害されても仕方のない存在」ですが、アビーの父親が置かれた立場や使命を考えると、そうとも言い切れないと思います。
ジョエルとエリーがファイアフライの病院に行った時点で、殺戮は避けられなかった
もし、エリーに手術の同意を取ったとしても、ジョエルは殺戮を行ったと思います。
なぜなら、ジョエルはラストシーンで「もしも神様がもう1度チャンスをくれたとしても、俺はきっと同じことをする」とエリーの想いを知った上で言ってるからです。つまり、「エリーが手術に同意したとしても、再びを救い出す」という意味です。
ジョエルはエリー自身の為というよりは「エリーを救うことがエリーの為になるはず」という自身のエゴで行動しているんですよね。
エリーはそんなジョエルを許せずにいましたが、「許したいとは思っている」というのがラストシーンでのセリフです。
つまり、アビーの父親の行動に関係無く、ジョエルがエリーとファイアフライの病院に行った時点で、アビーの父親は殺害される運命だったということであり、ラスアス2の復讐劇はジョエルが生み出したものだと考えることが出来るわけです。