10年前と比べ明らかに低迷しているゲーム業界。最近ではスマホゲーが勢力を大幅に拡大したことが原因でゲーム機の売上が伸び悩んでいるとも言われるが、私はそうは思わない。
「スマホゲーで十分」と言う人は元々ゲームをほとんどしてこなかったライトユーザーであり、古来より存在するゲームファンは今もゲーム機でゲームを遊ぶ人が多いというのが私の見解だ。
問題なのは古来より存在するゲームファンの熱が冷めてきていることだ。
以前はテレビ地上波でもゲーム番組が複数放送されていたが今では寂しいものだ。明らかに衰退している。何故、ゲーム業界が衰退してしまったのか?それは、マルチプラットフォーム展開したことが原因だと私は考える。
この記事の目次
そもそもマルチプラットフォーム展開の目的は何か?
マルチプラットフォーム展開とは、一つのゲームタイトルを様々なゲーム機で展開することを指すが、この目的はなんだろうか?
答えは単純明快で多くのゲーム機で展開すればより多くの人に商品を売ることが出来るわけだから利益が増える。それが目的だ。
最初からマルチ展開する場合もあれば、更なる利益確保の為にヒット作品を多機種に移植する場合もあるというように形態は様々だ。
このようにマルチプラットフォーム展開は利益に繋がる有効なマーケティング戦略だと考える人もいるが、実際はマイナスの側面のほうが大きい。
最大の欠点は独自性が無くなることでの商品価値の低下にある
マルチプラットフォーム展開の最大の欠点は商品価値の低下だ。マーケティングをかじっている人なら分かると思うが、商品には「独自の魅力」が必要だ。
ゲーム機基準で考えると、同じ商品が複数のゲーム機で発売されれば独自性は無くなってしまうわけだ。そうなるともう価格が安いか、タイトル数が多いかで判断するしか無くなってしまう。PS4と同等の性能を持つはずのXbox oneの商品価値はこれにより底なしに低下し、あっという間に負けハードになってしまったわけだ。
一方で低迷気味のWiiUだが、独自性という意味では良い手本になる。WiiUには「任天堂のゲームで遊べる」という独自性がある。つまり、多少伸び悩んだところで任天堂ファンがいる限りは一定のシェアを確保し続けることが出来る。WiiUは任天堂ファンにとっては最高の商品価値を提供できているわけだ。
ゲームそのもの品質にも悪影響
先ほどはゲーム機の商品価値の低下について話したが、ゲームソフト自体にも悪影響がある。それは開発コストの増加だ。
マルチプラットフォーム展開するということは、それぞれのゲーム機向けにプログラムを作成しなければならないことを意味する。
それぞれのゲーム機に最適化したプログラムを書くのはかなりの手間だ。だから極力使い回せるように汎用性の高いコードを書くようになる。汎用性の高いということは特化していないということ。つまりゲーム機の性能を引き出せていないということになる。結果、「次世代機なのに次世代感が感じられない」という微妙な出来になってしまうのだ。
それに対して任天堂のゲームはWiiUに特化している為ハード性能が前世代機並みでも非常に高いクオリティを誇る。
マルチプラットフォーム展開を廃止すれば選ぶ楽しみが増える
マルチプラットフォーム展開を廃止すれば、一つのハードに特化した作品を作れるのでクオリティが向上し「遊びたい」と思えるタイトルが増え、それが購入する動機になり様々なゲーム機が売れるようになる。
これはゲーム業界に限ったことではない。何かに特化して独自性を持たせるということはあらゆる分野で有効だ。何の特色も無ければビジネスは失敗する。その業界での成功者は必ず何らかの特色を持っている。それが選ばれる理由になっているからだ。
ゲーム業界を活性化するにはそれぞれのゲーム機に独自のタイトルを展開して差別化を図ることが必要だ。それが制作側にとってもユーザーにとってもプラスになるはずだ。