どう進化する?HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』開発者・プロデューサー合同インタビュー全貌解明!
長きにわたりJRPGの原点として愛され続けてきた「ロト三部作」の始まり、『ドラゴンクエストI』と『ドラゴンクエストII』が、HD-2D技術を用いて現代に蘇ります。2025年10月30日の発売を控え、開発者およびプロデューサーの早坂将昭氏へのインタビューから、単なるリマスターに留まらない、大胆なフルリメイクの全貌が明らかになりました。本記事では、オリジナル版からの変更点、ボリューム増加、そしてロトの物語を繋ぐ新たなシナリオの秘密について、詳細をまとめて紹介!
この記事の目次
HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の概要とリメイクの背景

『ドラゴンクエスト』シリーズの原点である『DQI』と『DQII』は、これまで多くの移植やリマスターは行われてきたものの、本格的な「フルリメイク」は長らく実現されていませんでした。プロデューサーの早坂将昭氏は、HD-2Dというグラフィックスタイルが「レトロであればあるほど真価を発揮する」という特性に注目し、ロト三部作への適用を決断しました。
当初、ロト三部作のリメイクは、システム完成度の高さと日本国内での社会現象化を考慮し、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を入口とすることが、堀井雄二氏との協議で決定していました。そのため、今回のHD-2D版は『III』→『I』→『II』という時系列に沿った順番での発売となります。また、『DQI』と『DQII』を別個ではなく一つのパッケージとして収録することで、ボリュームに見合う価格設定や、三部作完結をより早く届けるというプロデュース観点での意味合いも大きかったと語られています。
30年以上の時を超えた「フルリメイク」のコンセプト
今回のリメイクにおいて、開発チームが掲げたコンセプトは「原作から思いっきり変える。ただし根っこは変えない」というものでした。これは、前作『DQIII』の「可能な限り原作から変えず、+αの追加のみにする」という方針とは大きく異なり、30年以上前のゲームとしての「遊び心地」や「難易度」を現代に合わせるための大胆な決断です。変えすぎると別物になる、変えなさすぎると原作で良い、という塩梅の見定めが最も注力した点でした。
ビジュアル面では、平面の2Dマップを立体の3DであるHD-2Dへと変換する際、マップ構造の維持に最も苦労したといいます。特にタウンの各建物の配置やダンジョンの道順は、原作を遊んだプレイヤーに「あそこにアレがあったような気がする……やっぱりあった!」という、思い出の追体験をしてほしいという意図から、ほぼ原作通りを維持するという高い難易度の課題に挑戦しました。これは、ビジュアルが大きく変わっても、核となる構造を変えないというリメイクの「根っこ」を体現しています。
『ドラゴンクエストI』の大幅な戦闘バランス調整と新要素
オリジナル版『ドラゴンクエストI』の戦闘システムは、主人公とモンスターが1対1で戦うのが特徴でした。しかし、HD-2D版では、映像の一部で主人公が複数の敵と対峙しているシーンが確認されており、戦闘バランスが大幅に見直されていることが分かります。
この変更に伴い、難易度調整は「フルスクラッチに近い形」で行われました。特に、原作にはなかった「特技」や「新規の呪文」が追加されており、これが新たな戦闘の核となっています。原作の『DQI』は1対1でも難易度が高かったため、呪文や特技がない状態からバランス調整をやり直す必要があり、新たな戦術が生まれることに期待が持たれます。また、ボリュームについても、元々短かった『DQI』は、本作で『DQII』と合わせることで、前作の『DQIII』HD-2D版よりも増えているため、十分なプレイ時間を楽しむことができます。
『ドラゴンクエストII』に加わる新たな仲間とその役割
『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』では、ローレシアの王子、ムーンブルクの王女、サマルトリアの王子の3人がパーティを組みますが、HD-2D版では、新たに「サマルトリアの王女」がパーティメンバーとして加わるという驚きの新要素が判明しました。
この王女は、ファンの間でも「いつか仲間になるのではないか」と長く噂されていたキャラクターであり、プロデューサーから堀井氏への提案により実現しました。彼女の役割は、既に存在する戦士タイプ(ローレシアの王子)、魔法使いタイプ(ムーンブルクの王女)、魔法剣士タイプ(サマルトリアの王子)とは被らない「トリッキーな立ち回り」をするキャラクターとされています。具体的には、『DQIII』における盗賊、武闘家、遊び人といったトリッキーな職業を足したような、これまでのパーティにないユニークな役割が期待されます。
さらに、原作の重要な遊び要素であった「ふくびき」についても、もちろん収録されており、単に再現されるだけでなく、パワーアップした形で登場することが示唆されています。
ロト三部作を貫く「新たな物語」の真意
今回のリメイク最大の目玉の一つが、ロト三部作を時系列順(『III』→『I』→『II』)に繋げる「新たなシナリオ」の追加です。原作の『DQIII』では、物語の最後に『DQI』と繋がるギミックが大きなインパクトを与えましたが、今回はその手法が使えません。そこで、時系列順の発売という利点を活かし、それに代わる新たな展開を用意したと早坂氏は語っています。
追加されたストーリーの要素として、ネタバレを避けたうえで語られたキーワードは「ロトの物語の大団円」です。これは、『DQIII』HD-2D版で新たに追加された謎や伏線、原作で一切語られていなかった部分、そして原作ファンが長年気になっていたであろう部分など、誰も想像できない展開を含めて、すべてが盛り込まれていることを示唆しています。開発チームは、この新たな物語こそが、HD-2D版のロト三部作を制作した最も大きな目的の一つであるとし、ドラゴンクエストファンなら誰でも驚愕するサプライズを用意していると自信をのぞかせています。
現代のプレイヤーに向けた徹底的な「遊びやすさ」の追求
現代のゲームとしてふさわしい体験を提供するため、本作では「遊びやすさ」の向上が徹底されています。前作『DQIII』で実装されたオートセーブ、全滅後の即時復帰、行き先ガイド、目的地マーカー、難易度選択、敵の弱点表示、UI操作系統の改善といった要素はそのまま受け継がれています。
さらに、『DQI&II』では、ショートカットキーとして機能する「べんりボタン」が新たに実装され、プレイヤーの「かゆいところに手が届く」細やかな配慮が施されています。一方で、戦闘システムは現代のRPGに多いアクション要素を採用せず、原作を尊重したクラシックなコマンドバトルRPGスタイルを維持しています。エンカウントもシンボルではなくランダムエンカウントが採用されており、現代では逆に珍しいこの形式が、RPGファンにとって新鮮な体験となることを信じています。
HD-2Dグラフィックスタイルについても、これまで多くの作品がリリースされ、成熟段階にあると開発者は認識しています。この経験は、将来的な『ファイナルファンタジーVI』や『ドラゴンクエストIV』といった他作品へのHD-2D適用、あるいはHD-2Dとはまた異なる新たなビジュアルスタイルの模索へのインスピレーションにも繋がっていると語られました。
HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』は、ロトの物語の集大成として、過去のファンと新規プレイヤーの双方に、最高の冒険体験を提供することを目指しています。
参考文献
https://blog.ja.playstation.com/2025/09/05/20250905-dq1and2/

