レビュー
投稿日:2025年09月04日更新日:2025年09月04日

【評価・レビュー】デススト2は小島秀夫作品の集大成といえる神ゲーだ【デス・ストランディング2】

6月に発売された『配達して世界を繋ぐゲーム』の続編デス・ストランディング2(デススト2)ですが、発売日から遊び始めて100時間ほどかけてようやくクリアしたので感想を話していきたいと思います。

デス・ストランディング2は小島秀夫作品の集大成といえる神ゲーだ

率直な感想を話すと、デススト2は小島監督/コジマプロダクション作品の集大成であり最高傑作でした。間違いなく神ゲーですね。

エンターテイメントってコレだよね」と言いたくなるぐらい、エンタメ要素満載の遊び心に溢れた作品でした。GOTY最有力候補と言えるクオリティだと思います。

ちなみに私の小島監督作品のプレイ遍歴は、メタルギアソリッドと密接な繋がりのあるポリスノーツPS版が発売された1996年から始まります。

  • ポリスノーツ
  • メタルギアソリッド(MGS)
  • メタルギアソリッド2
  • メタルギアソリッド3
  • メタルギアソリッド4
  • メタルギアソリッド5 GZ
  • メタルギアソリッド5 TPP
  • ZONE OF THE ENDERS(小島監督はプロデュースのみ担当)
  • ANUBIS ZONE OF THE ENDERS(小島監督はプロデュースのみ担当)
  • デス・ストランディング
  • デス・ストランディング2

これらの作品を発売当初にリアルタイムで遊びました。

この記事を読んでいる多くの人がご存じだと思いますが、メタルギアソリッドシリーズにはメタ要素が多く含まれています。

例えば、MGS1では「(ゲームの)パッケージの裏に無線機の周波数が書いてある」「相手はコントローラー操作を読んでいる」「コントローラーを端子2に指すんだ!」といったセリフがあったり、当時主流だったブラウン管テレビでゲーム機の電源が落ちたと錯覚させる『ヒデオ表示』など、現実世界に干渉するネタを盛り込んだりしています。

他にも、作品をまたいだ繋がりがあるのも特徴です。
MSG1ではポリスノーツからフォックスハウンドやメリル・シルバーバーグが登場しますし、ANUBIS ZONE OF THE ENDERSではコナミの名作シューティング『グラディウス』からビックバイパーが登場します。

デススト1以降では小島監督は独立してコナミから離れましたが、「メタ要素」や「作品をまたいだ繋がり」は健在です。キャスティングにはMGSでお馴染みの面々を起用し、MGSの名台詞や演出を盛り込み話題になりました。

デススト2ではコジマ節が過去最高レベルで炸裂

そして今作デススト2では、「メタ要素」や「作品をまたいだ繋がり」は限界突破し、ジャンルを超えた繋がりにまで発展しているんですよね。

話題になったVTuberの兎田ぺこら、ミュージシャンの三浦大知や星野源が本人役で出演するのもそうですし、巨大BT(霊体のようなもの)を召喚してのバトルでは、ウルトラマン第8話『怪獣無法地帯』で使われるBGMを背景に3分の制限時間で戦ったり、ゴーストオブヨーテイのマスクが手に入ったり、MGS1のニンジャを彷彿とさせる人物が登場したり、合体ロボアニメのような展開があったりと、とにかく無茶苦茶でデジャヴを感じざるを得ない作りになっているんです。

特にストーリー終盤はネタを盛り込み過ぎて頭がパンクしそうなレベルなんですが、「そういえば、小島作品ってそういうところあったよな…」と納得してしまう自分もいるわけです。終盤なんて作中でもかなりシリアスな展開なのに、ミュージカルが始まったり、ギターでセッションしたりワケわからん状態ですが、それでも妙に納得してしまうのは、小島作品の集大成と思わせてくれるからなんですよね。ラスボス戦で笑かしにかかってくる作品なんて今まで見たことありませんでしたからね(笑)

かなり癖のある演出なので、人を選ぶ作品なのは間違いないと思いますが、小島作品が好きな人には過去最高レベルに刺さるんじゃないかなと思います。

『配達』という地味な要素を面白く仕上げるのがスゴイ

デスストは『配達』がメインのコンテンツですが、荷物を背負ってフィールドを歩くだけなんですよね。他のオープンワールドゲームでもフィールドを歩くことは出来ますが、似ているようで全然違うんです。

歩くこと自体が難しく作られていて、バランスを取りながら歩く必要があります。荷物の重量が増えればより不安定になります。

途中、敵に襲われることもあります。荷物を守りながら戦う必要があります。時には荷物を奪われることもあります。

転倒すれば荷物が破損します。長距離を時間をかけて運んできても破損したらオシマイです。

でも、何故かそれが楽しいのです。

「報酬がもらえるから」というのもありますが、「過酷な道を乗り越えることの達成感」のほうが大きいと思います。

また、プレイヤーはインフラを復旧して「安全な道を使い配達することも出来る」のです。インフラ復旧もなかなか骨の折れる作業ですが、国道が繋がる快感は病みつきです。

普通の制作会社なら企画時点でボツになりそうですが、これを魅力的なメインコンテンツにしてしまうのですから、小島監督はやはり天才なのだと思います。

圧巻のグラフィックでオープンワールドの魅力を底上げ

技術面でもデススト2はスゴイです。
デススト2はオーストラリアを舞台にしたオープンワールドで、広大な自然の描写はこれまで発売されたオープンワールドでも上位に入るクオリティです(ちなみに景観で一番美しいと思ったのはアサシンクリードシャドウズ)。

ただグラフィックが美しいだけでなく見せ方が上手いんですよね。

例えば、美しいオープニングムービーでゲームが始まりますが、「えっ?もう動かせるの?」とゲーム画面に切り替わったことを気付かせない自然な導入なんですよね。

あとは『絶景』を意図的に作り出しているのも流石だと思いました。険しい山の上から見下ろす雲海が広がる風景のインパクトには凄まじい物があります。

デススト2では時間や天候の概念も導入され、日中だけでなく夜間の移動も可能になりました。月明りや星空が美しい夜景の中を歩くのは前作とは違った魅力です。また逆に、より過酷なコンディションの中を歩く必要も出てくるので、それはそれで異なる楽しさがありますね。

ハイレベルなキャストの演技がキャラクターに命を吹き込む

デススト2ではキャラクターのグラフィックもより詳細になりました。

グラフィックの向上だけでなく、役者さんの演技も素晴らしいんですよね。

モーションキャプチャーにより細かな表情の変化までを再現しているので、キャラクターの微妙な心境の変化が言葉無く伝わってくるんです。

モーションキャプチャーの採用は今や当たり前になっていますが、デススト2のクオリティはズバ抜けています。これに匹敵するのはラスアス2ぐらいだと思います。

グラフィックが美しいゲームは時代の進化にあわせて無数に増えていくことでしょう。しかし、これだけのセンスを感じる映像表現は、どんなに時代が進んでも滅多に表れることはないと感じます。

遊び易くなったゲーム性、方向性の変化

デススト2の基本的なゲームデザインは前作から踏襲されています。その為、新鮮味という点では薄いのですが、いたるところがブラッシュアップされて遊び易くなっています。

前作は割とストレス要素も多くてやり込む気にはなれなかったのですが、今作では色々改善されてストレスフリーになっているので、メインストーリーそっちのけで配達したり国道復旧したりしていました。さすがに2作品連続で同じゲーム性だと飽きるかな?と思ったんですが、そんなこともなく100時間以上は遊びましたからね。

前作では「配達のルートに厄介な敵がいる」といった状況がストレスになることが多かったのですが、デススト2ではそういった場面は極力少なく設定されています。配達に集中出来るのは良い改善だと思いました。

また、人を殺害するとそのエリア一帯が対消滅してしまうので、前作では気を使いながら戦う必要があり、これもまたストレスでしたが、デススト2ではほぼ全ての攻撃が非殺傷なので、存分に敵と戦うことが出来るんですよね。

また、デススト2では荷物の配送手段が序盤から充実しているので、前作ほど苦労せず配達出来ます。インフラの復旧もサクサクと進めていくことが出来ます。

前作が『配達の過酷さを体験するゲーム』であれば、今作は『インフラを繋ぎ、配達する事自体を楽しむゲーム』といった感じでしょうか。ストーリー背景的にも前作は『孤独』、今作は『繋がり』を感じさせる作りとなっているんですよね。

ファストトラベルも使いやすくなりました。ただ、異空間を移動するファストトラベルを使い配達すると荷物が汚染されて評価が下がるので、配達自体は自力でやる必要があるのも上手い調整だと思いました。ペナルティがゲームの世界観とリンクしているのが素晴らしいです。

デススト2を遊ぶ際の注意点・気になった点

2025年の最高傑作と言っても過言ではないデススト2ですが、注意点や気になった点もいくつかありますので紹介します。

前作プレイは必須

デススト2を遊ぶなら、前作のプレイは必須です。最低でも他の人のプレイ動画を見るなどして、ストーリーを完全に把握しておくべきでしょう。

一応、ゲーム内に簡単なおさらいはあるのですが、それだけだと不十分です。

デススト2では前作のキャラクターが続投します。そして、キャラクターの描写が濃いです。

なので、大まかにストーリーを知るだけではキャラクターに感情移入することが難しいのです。キャラクターを深く知ることで、デススト2をフルに楽しむことが出来ます

ラスボス前の自由時間が無い

今作ではストーリーの途中途中で「やり残しがあれば今のうちにやっておこう」と親切に助言をされるのですが、何故かラスボス前に限ってその助言は無く、終盤からエンディングまで一直線なんですよね(ファストトラベルも制限される)。

ストーリー以上に配達をしたりインフラを整える事に重点を置いた作品だと思うのですが、終盤以降はストーリーを強制されるような形で、やり残したことが山積みのままエンディングを迎えることになる人が大半だと思います。

あのキャラはどうして不在?

主要キャラは前作から続投する本作ですが、ロックネという女性キャラだけ登場していないんですよね。厳密に言うとキャラクターの姿は確認出来るのですが、喋っている姿は見られないという状態です。

キャスティングで問題があったのか、コスト的な問題なのか、それとも特に理由はないのかは分かりませんが、彼女だけ不在なのは少しモヤモヤしてしました。

デス・ストランディング2の得点

96 / 100

※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。

項目別評価

グラフィックス ☆☆☆☆☆
スケール感を感じるフィールド、細かな表情変化まで描き切ったキャラクターが素晴らしい
サウンド ☆☆☆☆☆
前作から引き続き、ストーリーを彩るBGMと役者の演技がスゴイ
熱中度 ☆☆☆☆☆
前作より大幅に遊び易くなり、純粋にゲームに熱中できるようになった
ボリューム ☆☆☆☆☆
メインストーリー30~40時間、サブストーリーやエンドコンテンツで150時間超えの大ボリューム
遊びやすさ ☆☆☆☆☆
前作から大幅にブラッシュアップされ快適に進化

GOTY受賞の最有力候補か!?デススト2は2025年を代表する名作だ

というわけでデス・ストランディング2のレビューをしてきましたが、メチャクチャ良い作品でした。

事前情報は入れずにプレイしたのですが、正直遊ぶ前はそこまで期待してなかったんですよね。前作からゲーム性を踏襲することは知っていたので、仕上がりをある程度予想出来たからです。

しかし、実際に遊んでみてその心配は杞憂でした。ブラッシュアップするだけでここまで楽しくなるのかと驚きました。おそらく、ドラクエシリーズが基本システムをずっと踏襲していても飽きることなく楽しめるのと同じで、ベースとなる『配達』部分の完成度高いからなのだと思います。

そして、ストーリーですね。前作は説明っぽい感じで若干疲れやすい内容だったのですが、今作はシリアスでありながらエンタメ要素が盛り盛りで飽きさせない作りになっています。

相変わらず好き嫌いがハッキリ分かれる作品だとは思いますが、前作が好きだった人は大満足のクオリティでしたね。2025年のGOTYを狙えるレベルの作品に仕上がっていると思いました。

気になっていてまだ遊んでいない人は、是非前作から遊んでみてください。オススメです。

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