【評価・レビュー】密度重視のオープンワールドが心地良い。期待の続編ゴーストオブヨウテイ徹底解説
今回は2025年10月に発売された『ゴーストオブヨウテイ』のプレイを開始し2カ月弱の時間を経て、ようやくクリアしたのでレビューをしていきます。
この記事の目次
はじめに:「対馬」から「羊蹄」へ—新たな傑作『ゴーストオブヨウテイ』がここに誕生

前作『Ghost of Tsushima(ゴーストオブツシマ)』で、世界中のゲーマーに「日本の美」と「武士の誉れ」を強烈に印象づけたSucker Punch Productions(サッカーパンチ・プロダクションズ)。その待望の最新作にして続編、『Ghost of Yotei(ゴーストオブヨウテイ)』が遂に発売されました。
北海道の蝦夷地、神々しい羊蹄山(ようていざん)を舞台に、『冥人』に代わって『怨霊』の物語が描かれる本作。
「オープンワールドはもう飽きた」というゲーマーさえも唸らせる、密度が濃く、テンポが良く、そして何よりも美しい。そんな本作の魅力を、徹底的に深掘りしていきます。前作を凌駕する進化、そして日本のカルチャーへの深いリスペクトを感じる、この傑作を見逃してはいけません。
グラフィックと世界観:リアルを超えた「芸術」としての美しさ

本作『ゴーストオブヨウテイ』を語る上で、まず触れるべきはグラフィックの劇的な進化です。
アート性が際立つ「和の極み」
近年のオープンワールドゲームでは、『アサシン クリード シャドウズ』のように「リアリティ」を極限まで追求する傾向が強まっています。しかし、『ゴーストオブヨウテイ』が目指したのは、それとは異なる方向性です。
本作のグラフィックは、リアリティの追求よりも「アート性」を強く打ち出しています。
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色彩の表現: 濃い朱色の鳥居、降り積もる雪の青、秋の燃えるような紅葉など、日本の四季や情景を、現実よりもやや誇張された、絵画的な美しさで表現しています。
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光の描写: 木漏れ日、雪原に反射する太陽の光、夜の月明かりなどが、息をのむほど繊細かつ幻想的に描かれており、スクリーンショットを撮る手が止まらなくなるでしょう。
まるで一枚の浮世絵や水墨画の世界に迷い込んだかのような体験は、他の追随を許しません。リアリティの追求ではなく、「日本が持つ根源的な美しさ」を再構築したこのアートスタイルこそが、本作最大の魅力の一つです。
密度が濃いオープンワールド

「オープンワールドは広ければ広いほど良い」という風潮は過去のものになりつつあります。本作のオープンワールドは、正直に言って思ったよりも狭いと感じるかもしれません。しかし、その「狭さ」こそが、本作を傑作たらしめている最大の要因です。
『ゴーストオブヨウテイ』は、広大なマップを移動時間に費やすのではなく、その密度を高めることに注力しています。
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景色が変わる楽しさ:
数分歩くだけで、雪深い山道から、人々が暮らす城下街、そして広大な草原へと、景色が目まぐるしく変化します。 -
探索の飽きさせなさ:
祠、温泉、俳句、竹切りといった寄り道要素が、過度にマップ上に配置されすぎず、しかし絶妙な配置でプレイヤーの興味を引きつけます。
「狭いけれど、どこを見ても情報量が多く、常に新しい発見がある」。この濃密な世界設計が、プレイヤーに疲労感を与えることなく、探索の純粋な楽しさを提供してくれます。
ゲームプレイの進化:軽快さと爽快感を両立

前作で確立された基本システムを継承しつつも、『ゴーストオブヨウテイ』は、プレイヤーの快適性と戦闘の爽快感を大きく向上させています。
軽快な移動とゲームテンポの良さ
オープンワールドにおける移動は、時に作業になりがちです。しかし本作では、そのストレスが徹底的に排除されています。
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キャラクター操作の軽快化:
主人公「篤」の操作性は、前作の「仁」よりもさらに軽快になり、壁登りや、鉤縄を使った移動がより直感的でスムーズになりました。 -
ファストトラベルの高速化:
ロード時間が驚異的に短縮されており、ファストトラベルが文字通り一瞬で完了します。これにより、「面倒臭いから後回しにしよう」という思考が生まれず、探索とミッション進行のリズムが途切れません。
この圧倒的なゲームテンポの良さこそが、「ついつい遊び過ぎてしまう」中毒性の核心です。気づけば深夜…というゲーマーが続出することでしょう。
カッコ良く、そして爽快な戦闘システム

戦闘システムは、前作の「型」のシステムを継承しつつ、より洗練され、アクションゲームとしての楽しさが向上しました。
武器の使い分けが楽しい
- 特定の敵に対して、複数の武器(刀、脇差、弓、飛び道具など)を瞬時に切り替えながらコンボを繋げる戦術の幅が広がりました。
- 一対一の決闘も、より華麗でドラマティックな演出が加わることで臨場感が高まりました。
敵を斬り伏せた際の血飛沫、風になびく主人公の着物、そしてカメラワーク。すべてが相まって、まるで映画のワンシーンを自ら作り出しているかのような没入感があります。難易度は複数から選べるのでアクションゲーム初心者にも優しい設計です(デフォルトで結構難しめ)。
ストーリーと没入感:自然な繋がりが生む究極の没入体験

ゲームを構成する上で最も重要な要素の一つ、ストーリーと演出においても、『ゴーストオブヨウテイ』は前作からの大きな飛躍を遂げています。
メインとサブストーリーのシームレスな統合
多くのオープンワールドゲームが抱える問題として、「サブクエストは単なるお使いで、メインストーリーとは関係ないから後回しでいいや」という状況があります。しかし、本作はその壁を見事に打ち破りました。
『ゴーストオブヨウテイ』では、メインストーリーとサブストーリー(浮世草)の繋がりが非常に自然です。
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メインミッションで出会った人物のその後が、サブクエストとして深く掘り下げられる。
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サブクエストで得た情報や道具が、メインミッションの攻略の鍵となる。
このシームレスな統合により、プレイヤーは「目の前のミッションはすべて、大きな物語の一部なのだ」と感じられ、結果として「サブクエは後回しでいいかな」という状況になりません。全ての寄り道が、主人公「篤」の成長と、蝦夷地という世界の深掘りに繋がっているのです。
結末は前作を超えた!『心を揺さぶる物語』

前作の結末は、一部のプレイヤーにとって、叔父である志村の行動が「プレイヤーからのヘイトを買い過ぎていた」ために、感情移入し難く、パッとしない印象に感じたかも知れません。実際私は最後の選択で「もうどっちでも良くないか?」と思ってしまったんですよね。
しかし、本作の結末は、予想できる内容だったにも関わらず、前作よりも深く心を揺さぶられるものになっています。
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主人公の共感性:
主人公「篤」が直面する葛藤や選択が、より人間味があり、プレイヤーが自己を投影しやすい構造になっています。 -
悲劇と美しさ:
物語の終着点には、ただの悲劇ではなく、ある種の「美しさ」と「諦観」、そして「希望」が同居しており、プレイ後に深い余韻を残します。
エンディングを迎えた後、間違いなくあなたは、しばしコントローラーを置き、羊蹄山を眺める篤に思いを馳せることになるでしょう。
表現の進化:ディテールが織りなす「生きた」世界

『ゴーストオブヨウテイ』は、ただのゲームではなく、一つの映像作品としても最高のクオリティに達しています。それは、細部にまで徹底的にこだわった演出によって実現されています。
素晴らしい演技と方言の新鮮さ
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篤役のキャストの素晴らしさ:
主人公・篤の演技(日本語声優を含む)は、葛藤、怒り、優しさといったあらゆる感情を繊細に表現しており、文句なしの素晴らしいの一言です。主人公への感情移入を深める上で、キャストの貢献は計り知れません。 -
聴き慣れない方言の新鮮さ:
ゲームやアニメでは通常、標準語か、特定の地域の方言に偏りがちです。しかし本作では、舞台となる蝦夷地の文化を反映した、あまりゲームやアニメでは耳にしない、独特な方言が多数聞かれます。これが非常に新鮮で、プレイヤーをより深い没入へと誘ってくれます。「この土地には、この土地に生きる人々の言葉がある」というリアリティが、世界観を一層深めています。
カットシーンの完璧な進化
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細かな表情変化の描写:
カットシーンにおけるキャラクターの表情描写は、前作から格段に向上しています。目の動き、口元のわずかな震え、眉間のしわなど、細かな表情変化までが丁寧に描かれており、キャラクターの心理描写がより深く、分かりやすくなっています。 -
待望の日本語リップシンク対応:
前作は日本語音声でプレイすると、会話と口の動きが合わない「リップシンクの違和感」がありましたが(ディレクターズカット版で対応)、本作は発売当初から完全に日本語リップシンクに対応しています。これにより、カットシーンでの会話が格段に自然になり、没入感が途切れることが一切ありません。この細かな改善が、物語の質を大きく引き上げています。
主人公モデルの人種的配慮
主人公・篤のモデルが日系人であるという点も特筆に値します。前作の女性キャラクター・ゆなのモデルが日系人ではなかったため、一部で議論を呼びました。開発陣がこの声に真摯に向き合い、「日本の文化を扱う作品の主人公は、そのルーツを持つ人物であるべき」という配慮がなされたことは、プレイヤーとして非常に好感が持てます。
唯一の惜しい点:謎解き要素の改良を期待

ほぼ完璧な体験を提供してくれる本作ですが、唯一惜しい点として挙げられるのが「謎解き(寄り道)が楽しくない」という点です。
探索要素の一つとして配置されている謎解きギミックや、一部のマップの秘密を解き明かすためのパズル要素は、単調で作業感が強く、ゲームテンポの良さに水を差すことがあります。
せっかく世界密度が高いのですから、ゼルダの伝説シリーズのような、物理法則や独特のギミックを利用した、思わず唸るような独創的な謎解きが導入されれば、オープンワールド体験はさらに完璧なものになったでしょう。続編あるいはDLCでの改善に期待したいところです。
ゴーストオブヨーテイの得点
※この得点はどのくらいオススメなのかを表すものです。グラフィックやサウンドがイマイチでもそれを上回る魅力があれば高得点になります。
項目別評価
- グラフィックス ☆☆☆☆☆
- アート性を追求した圧巻のビジュアル
- サウンド ☆☆☆☆☆
- キャストの演技力、挿入歌などにこだわりを感じる
- 熱中度 ☆☆☆☆☆
- マップの密度が高く、かつ、メイン・サブのクエストの繋がりが自然で時間を忘れてプレイしてしまう
- ボリューム ☆☆☆☆★
- 総プレイ時間100時間を超える作品ではないものの、満足感を感じる造り
- 遊びやすさ ☆☆☆☆★
- 前作からブラッシュアップされたものの、武器や飛び道具の切り替えに苦戦する
まとめ:今すぐ「ゴーストオブヨウテイ」をプレイすべき理由
『ゴーストオブヨウテイ』は、単なる人気作の続編ではありません。それは、前作の成功体験に安住せず、オープンワールドゲームの次なる可能性を示した傑作です。
なぜ、今このゲームをプレイすべきなのか?
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アート性の高いグラフィック:
リアルを超えた、日本の美を再構築した世界で遊べる -
圧倒的なゲームテンポ:
サクサク進む移動と、一瞬のロード時間でストレスフリーな体験ができる。 -
進化した戦闘:
より華麗に、より爽快に敵を打ち倒す快感を味わえる。 -
深い物語:
メイン・サブが自然に繋がり、感情移入できるストーリーで心を揺さぶられる。
「対馬」の誉れを受け継ぎ、羊蹄山でさらに昇華させたSucker Punch Productionsにリスペクトを送ります。
『ゴーストオブヨーテイ』は日本の美を愛するゲーマー、オープンワールドゲームに疲れたゲーマー、そして感動的な物語を求める全てのプレイヤーに、自信を持ってオススメできる2025年を代表するタイトルです。

