【PS5】QSSRとは?標準PS5に来るAIアップスケーリングをPSSRとの違いから解説
2026年10月1日、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が、標準のPS5向けにAIアップスケーリング技術「QSSR(Quick Spectral Super Resolution)」を発表しました。これまでAIによる高画質化は、PS5 Proの「PSSR」だけの特権だったんですよね。それが、普通のPS5にも降りてくるわけです。
この記事では、PlayStation Blogの公式発表を軸に、Digital Foundryの検証を伝える海外メディアの報道も合わせて、QSSRとは何か、PSSRと何が違うのか、いつ何で使えるのかを整理します。(※2026年10月6日時点の情報です)
QSSRとは?ひとことで言うと「PS5向けに軽くしたPSSR」
QSSRは、ゲームを低めの解像度で描画し、それをAIで高解像度に引き上げる「アップスケーリング」技術です。公式ブログによると、PSSRはゲーム画像をピクセル単位で分析し、AIで高解像度化します。ただ、その計算量の重さから、これまでPS5本体で同じ体験を実現するのは不可能だった、と説明されています。
そこで生まれたのがQSSRです。公式が挙げているポイントは次の2つです。
- 無駄を省いた(合理化した)ニューラルネットワークの構造
- PS5での性能を最大限に引き出す、手作業でチューニングした実装
つまり、PSSRの考え方を土台にしつつ、PS5の限られた演算能力に収まるように作り直した技術、という位置づけなんですよね。名前の「Quick」は、その軽さを表していると考えられます。
公式発表の執筆者は、SIEグラフィックスR&Dのプリンシパルエンジニア、Daniel Craig氏です。また、QSSRはSIEとAMDによるAIグラフィックスの協業プロジェクト「Project Amethyst」から生まれた技術だと明記されています。

PSSRとの違いを整理
対象の機種
PSSRはPS5 Pro専用です。QSSRはProではない標準のPS5向けです。
画質
公式は、QSSRが画像の細部と安定性の両方を目に見えて改善すると説明しています。一方で、最高水準はあくまでPS5 ProのPSSRで、QSSRは「パフォーマンス重視の新しい層(tier)」という位置づけです。同じ品質が出るとは言っていません。
ハードの違い
heiseの報道によると、PS5 Proには専用の機械学習演算ユニット(300 TOPS、INT8命令に対応)があります。標準PS5にはそのどちらもないため、QSSRは主にFP16で計算する、とのことです。この数値は公式ブログ本文には書かれておらず、報道ベースの情報です。なお、公式ブログはQSSRがどの演算器で動くかには触れていません。
最初の対応タイトルは2本
QSSRを最初に使うのは、次の2タイトルです。公式ブログによると、10月1日からパッチが配信されています。
- 『Marvel’s Wolverine』(Insomniac Games)
- 『Ghost of Yōtei』(Sucker Punch Productions)
公式ブログには、両スタジオの開発者のコメントも載っています。Insomniac Gamesのテクノロジー責任者、Mike Fitzgerald氏は、QSSRがマドリプールのにぎやかな街並みや新宿の入り組んだ路地などで細部を引き出すと語り、PS5 Proの体験の一端をPS5のプレイヤーに届けるものだと述べています。Sucker Punch Productionsのリードレンダリングエンジニア、Jasmin Patry氏は、キャラクターや環境の細かなディテールの再現に優れ、これまでPS5では実現できなかったレベルの時間的な安定性がある、という趣旨のコメントを出しています。
※コメントは要約です。正確な表現は公式ブログの原文をご確認ください。

第三者の検証:Digital Foundryはどう見ているか
公式の説明だけだと良いことしか書かれていないので、第三者の見方も見ておきます。海外のゲーム技術メディアDigital Foundryは、QSSRを実際に試しています。heiseやTechRadar、Push Squareなどの報道をまとめると、内容は次のとおりです。
『Marvel’s Wolverine』は効果が大きい
Digital Foundryは、Wolverineでの画質向上を「exceptional(格別)」と評価したと報じられています。複数フレームにわたって画面が安定し、細部が増え、植物まわりのアーティファクトも大幅に減ったそうです。
『Ghost of Yōtei』は変化が控えめ
もともと画質の良いGhost of Yōteiでは、改善幅は「それほど劇的ではない」とされています。性能面では、フレームレート制限なしのパフォーマンスモードで、既存のFSR 3実装とほぼ同じ速度で動くと報じられています。
処理コスト(フレームタイム)
Wolverineのカットシーンでの測定では、864pから1440pへのアップスケールで、Insomniac独自のアップスケーラーより1フレームあたり1.5〜1.8ミリ秒遅いと報じられています。フレームレート制限なしの状態に直すと、8〜10fpsほどの差だそうです。出力を2160p(4K)にすると、コストは約4.4ミリ秒まで増えるとのこと。参考として、PS5 ProのPSSRは4K出力で約2ミリ秒とされています。いずれもDigital Foundryの測定として報じられた数字です。
この数字を見ると、QSSRは「タダで画質が上がる魔法」ではなく、画質と引き換えに処理時間を払う技術だと分かります。
PS5 ProのPSSRも、この半年で大きく進化している
QSSRを理解するうえで、PSSR側の流れも押さえておくと分かりやすいです。2026年2月27日、PS5とPS5 ProのリードアーキテクトであるMark Cerny氏が、PSSRの改良版をPS5 Proに配信すると発表しました。Project AmethystとAMDのFSR 4をベースに、新しいニューラルネットワークとアルゴリズムを採用したものです。最初の対応タイトルは『バイオハザード レクイエム』でした。
3月17日のシステムソフトウェア更新で、改良版PSSRは『SILENT HILL f』『FINAL FANTASY VII REBIRTH』『モンスターハンターワイルズ』などの既存タイトルにも広がり、『バイオハザード レクイエム』を含めて12タイトルが対応しました(PlayStation Blog Japan)。そして9月16日のシステム更新で、改良版PSSRを使う設定(英語表記「Enhance PSSR Image Quality」)がPS5 Proで標準オンになったと報じられています。

QSSRは、この流れの延長にあります。PS5 Proで磨いたAIアップスケーリングの知見を、より多くの人が持つ標準PS5へ広げる、という順番ですよね。
気になる疑問
自分のPS5で何か設定は必要?
公式ブログで確認できた範囲では、QSSRは対応ゲーム側のパッチで提供されます。システム更新や本体設定の操作が必要かどうかは、公式ブログには書かれていませんでした。実際の挙動は、対応タイトルを更新して確認するのが確実です。
他のゲームにも広がる?
公式ブログは、QSSRをすべてのPlayStation開発者に幅広く提供し、今後さらに多くのタイトルで使われることを期待している、と書いています。ただし、具体的なタイトル名や時期は、現時点で公式には出ていません。採用するかどうかは各開発者の判断になります。
Xboxとの比較はどうなる?
Pure Xboxは、今後のXbox Series XとPS5の比較が面白くなりそうだとしつつ、Digital Foundryが「標準PS5のQSSRとPS5 ProのPSSRの間にはまだ大きな差がある」と指摘している点も紹介しています。
筆者の見解:QSSRは標準PS5ユーザーにとって何を意味するか
ここからは、上で整理した事実を踏まえた筆者の意見です。事実として言えるのは、QSSRが標準PS5向けに公式提供され、全開発者に開かれ、まず2本で使われ始めたこと。そして、報道ベースでは1.5〜1.8ミリ秒ほどの処理コストがかかること、ここまでです。
PS5 Proの価値はなくならないと思います
まず気になるのが「じゃあPS5 Proはいらないの?」という点だと思うんですよね。個人的には、Proの価値はそこまで揺らがないと思います。Digital Foundryも大きな差が残ると見ていますし、Proには専用の演算ユニットがあるので、同じ時間でより重いAI処理をこなせます。差が「AIあり/なし」から「AIの質の違い」に変わる、というイメージが近いかもしれません。
標準PS5の寿命は少し延びるかもしれません
一方で、Digital Foundryも触れているとおり、今世代は低い内部解像度と粗いアップスケーリングに悩まされたタイトルが多かったんですよね。そこがソフト側の工夫で改善されるなら、標準PS5で遊べる期間が実質的に延びる可能性はあると思います。発売から何年もたったハードに、こういう改善が入るのは素直にうれしいところです。
採用はタイトルごとの判断になりそう
ただ、1フレームあたり数ミリ秒を払う設計なので、どのゲームにも気軽に入るとは限らないと思います。たとえば60fpsを狙うゲームは1フレームの持ち時間が約16.7ミリ秒しかなく、その一部をアップスケーリングに回すことになります。なので、画質優先モードではQSSR、性能優先モードでは従来の手法、といった使い分けをするタイトルも出てくるかもしれません。これは筆者の推測で、公式にそうした方針が示されたわけではありません。
Project Amethystの次も気になるところ
公式で確認できるのは、改良版PSSRとQSSRがどちらもProject Amethystから生まれたという点です。この協業が次の世代のハードにどうつながるかは、現時点では公式情報がなく、完全に推測の域を出ません。ただ、PS5世代のうちにAIアップスケーリングを広げておくことは、開発者にとっての下地づくりにもなるのかな、と思います。
今すぐ買い替える必要はないと思います
購入判断としては、標準PS5ユーザーが今すぐ何かを買い替える必要はないと思います。QSSRはパッチで届くので、対応タイトルを持っているなら、まずは更新して試してみるのがいちばんです。見比べるときは、草木が揺れる場面や細い電線・柵のある場面など、ちらつきが出やすい所に注目すると違いが分かりやすいかもしれません。
まとめ
- QSSRは、PSSRを土台に標準PS5向けに軽量化したAIアップスケーリング技術です。
- SIEとAMDのProject Amethystから生まれ、合理化したネットワークと手作業の最適化で実現されています。
- 最初の対応は『Marvel’s Wolverine』と『Ghost of Yōtei』の2本で、効果はタイトルによって差があると報じられています。
- 画質の改善と引き換えに、フレームタイムのコストが発生します。
- 公式は全開発者への提供を表明していますが、今後の対応タイトルは未発表です。続報は公式ブログで確認するのが確実です。
【参考・出典】PlayStation Blog「AI upscaling is coming to PS5」(2026年10月1日)、PlayStation Blog「Upgraded PSSR upscaler is coming to PS5 Pro」(2026年2月27日)、PlayStation Blog Japan(2026年3月17日)、heise、TechRadar、Push Square、Pure Xbox、PlayStation LifeStyle ほか。












