最近、衝撃的な特徴を持つユーチューバーを見つけたので紹介しようと思います。
そのユーチューバーの特徴というのは『二重人格』であるという事。初めて見た時はにわかには信じられませんでしたが、色々な動画を見ていくうちに「本当なんだな」と思うようになりました。
この記事の目次
- 二重人格者・多重人格者(人格解離者)って本当に存在するの?
- 人格解離者のハイドさん&うささんについて
- 人格解離者になる理由
- 二重人格は性格が変わるのではない。”全く別の人間になる”ということ
- 人格が変わると記憶や意識はどうなるの?
- 『解離性同一性障害』と診断される以前はどういう感覚だった?
- どんなに親しい人でも別人格にとっては他人
- 人格解離者はどうやって他の人格とコミュニケーションを取るのか?
- 人格交代はどういうタイミングで起こる?意識的に人格交代出来るの?
- 主人格以外の人格も年齢や人生経験を重ねる事で成長する
- 人格解離者はアーティスティックな才能があるらしい
- 裏人格(交代人格)も普通の人間と変わらない
- 「自分が消えてしまうかも知れない…」という恐怖と戦い続けている
- 生活に大きな支障が無ければ人格統合(治療)をするべきではないと考える
- まずは人格解離を知ろう。それだけで彼らの手助けになる。
二重人格者・多重人格者(人格解離者)って本当に存在するの?
二重人格のユーチューバ―を紹介する前に、二重人格・多重人格は本当に存在するのかを説明します。
私がそうだったように多くの人は「嘘に決まってる」と信じない人が多いかと思います。しかし、二重人格・多重人格は『解離性同一性障害』という名前の病気として医学的に認められています。(この病気の人は人格解離者、多重人格者など呼ばれます。)さらには厚生労働省のウェブサイトにも記載があるように実在する病気なんです。
解離性同一性障害は非常に珍しい病気と言われていますが、医師の診断を受けていないだけで「実は解離性同一性障害だった」という人は意外と多いとも言われています。なぜなら本人にその自覚が無かったり、第三者が「フリをしているだけ」と疑って信用しないケースも多いと考えられるからです。
今回紹介する人格解離者のハイドさん(うささん)も、ユーチューブの視聴者から指摘されるまでは自分が解離性同一性障害だと知らず、それまでは性同一性障害だと思っていて、実際にそのように公言してユーチューバーとして活動していたそうです。
人格解離者のハイドさん&うささんについて
ハイドさん・うささんは人格を2つ持つ人格解離者、つまり二重人格者です。
私がハイドさん・うささんを知ったのは、青木歌音さんというMTF(男性から女性になった人)のユーチューバ―のコラボ動画がきっかけです。正直、最初はただの男装好きの女性だと思っていたんですよね。
上の動画で青木歌音さんと話しているのが、ハイドさんという男性の人格です。この人格が表に出ている時は、性的対象は女性になり、言動も男っぽく(というか下品?w)なります。人格は男性なのに体は女性なので「自分の体が気味が悪い」と感じているようです。
そしてもう一つの人格である、うささんは上の動画にも少し登場していますが、下の動画を見てもらうと分かり易いでしょう。
ご覧の通りうささんは女性人格です。ハイドさんとは正反対の性格でとても女性らしい言動をしていますよね。なにより同一人物とは思えないぐらい美人です(笑)
また、うささんは普段表に出て社会生活を行っている主人格であり、生まれた時から存在した人格(基本人格)でもあります。男性人格であるハイドさんは後から生まれた人格(交代人格・裏人格)になります。なぜ、ハイドさんが生まれる事になったかは口述します。
実は女性人格のうささんにはトシキさんという旦那さんがいます。うささんとトシキさんはとても仲の良い夫婦なんですが、この時はまだハイドさんとトシキさんの接点はほとんどありません。以下の動画では不慣れながらもハイドさんがトシキさんに話しかける模様が収められています。ちなみに私はこの動画でハイドさん、うささんが人格解離者であるという事を確信しました。
ぎこちない2人ですが、以下の動画にあるように2人で六本木に行った事をきっかけに、二人の仲は一気に縮まり、いまでは仲の良い兄弟の様な関係性になっているようですね。最近はハイドさんの動画撮影にトシキさんが同行することも結構多いです。
トシキさんはハイドさんという人格をきちんと認めていて、うささんとは異なる一人の人間として接しています。愛する妻と一緒にいるつもりが、いきなり『野郎』が出てくる事もあるわけですから、これはなかなか出来る事ではありません。素晴らしい人格者だと思います。
人格解離者になる理由
人格解離者は生まれつき複数の人格を持っているわけではありません。一般的に、生命の危機に立たされた時、『防御反応』として人格の解離が起きると言われています。
そもそも『解離』とは何か知っていますか?
解離とは何か?
解離とは、人体から意識を切り離す事を指します。
例えば、交通事故に遭った人は、事故の瞬間の事を覚えていない事がほとんどです。もし、その時の恐怖や痛みを覚えていたらきっと耐えられないですよね。気が狂ってしまうかも知れません。だから、防御反応として『人体から意識を切り離す』のです。
つまり、「覚えていない」というよりは「知らない」のです。その瞬間は人体から意識が切り離されている為、『自分と言う人間が存在しない』様なものだからです。
解離と同時に新たな人格が生まれるのが人格解離
交通事故の例を見れば、解離という現象は『誰にでも備わっている能力』だと分かるかと思います。
しかし、特殊な解離も存在します。
それがハイドさん、うささんのような人格解離です。
人格解離者は、人体と意識を切り離すのと同時に身代わりとなる人格を作るのです。何故そんなことが起きるのかと言うと、長時間意識を切り離しているわけにはいかないからです。
交通事故なら一瞬の出来事なので、全く意識の無い状態でも問題ありませんが、虐待やレイプなどは一瞬では済まないわけです。完全に意識を失ってしまっては身を守る事が出来ません。だから、虐待やレイプに耐えられる身代わりとなる人格を作るのです。
ハイドさんも、うささんも例外ではありません。ハイドさんという人格は幼少期にうささんが過酷な状況に置かれたことがきっかけで生み出されました。
動画の最後はフィクションっぽい演出があるので嘘っぽく見えてしまうかも知れませんが、それは動画の雰囲気が重苦しくならないようにハイドさんが視聴者に配慮しているのです。
絶対に「なぜ多重人格になったの?」と聞いてはいけない理由
ハイドさんのYoutubeチャンネルでよく見かけるのですが、絶対に興味本位で「なぜ多重人格になったの?」と聞いてはいけません。
先ほども話したように解離は”生命の危機に立たされた時、『防御反応』として人格の解離が起きる”わけです。つまり、理由を聞くことは『生命の危機に至るようなトラウマをえぐり出すようなもの』なのです。
トラウマをえぐるという事は、再び人格解離を起こし更に人格が増えてしまう可能性もあります。もしそれが、破壊的で手に負えない人格だったら責任を取れますか?
二重人格は性格が変わるのではない。”全く別の人間になる”ということ
人格解離(二重人格・多重人格)の人を『性格が豹変する人』と解釈する人がいますが間違いです。
分かり易い例で言うと『酒を飲むと豹変する人』。陽気になったり、怒りっぽくなったり、涙もろくなったりしますが、これは人格が豹変しているのではなく、あくまで1つの人格の性格が豹変しているだけです。なぜなら、『自分である』という自覚があるからです。
人格解離者は他の人格に切り替わると『自分である』という自覚が無くなります。ハイドさん、うささんの例だと、ハイドさんが表に出ている時はうささんである意識は無くなりますし、うささんが表に出ている時はハイドさんである意識は無くなります。要するに、一つの体に複数の人間が入っている様な状態なのです。
ただ、人格は感情が高ぶると変わりやすいそうなので、お酒で感情が高ぶり人格チェンジを起こす人格解離者もいるかも知れません。
人格が変わると記憶や意識はどうなるの?
人格解離者と一言にいっても症状の重さは様々です。なので、人格間の記憶の共有だったり、他の人格でいる時の意識などは人それぞれです。
ハイドさん・うささんの場合は、お互いの記憶をある程度は共有出来るみたいですね。全てを覚えているわけではないようですが、テレビを見るような感覚で記憶しているようです。
また、意識についてもハイドさんたちは、他の人格の時、全く無くなるというわけではなく、車の後部座席にから見るような感覚でなんとなくはあるみたいですね。
ハイドさん・うささんは比較的軽症らしいのですが、重症者になると人格ごとに記憶も意識も完全に分かれてしまうので、まともな社会生活を送れなくなりますし、「気付いたら見知らぬ土地にいた」なんて事も珍しくないようです。
人格解離者の記憶についてはハイドさん、うささんが分かり易く図解して動画にしているので是非見てみてください。理解が深まると思います。
別人格の時の意識については青木歌音さんとのコラボ動画で説明されているので、こちらもチェックしてみてくださいね。
『解離性同一性障害』と診断される以前はどういう感覚だった?
人格解離者であっても『解離性同一性障害』と診断される前は、「まさか自分が多重人格者!?」などと疑う事はレアケースでしょう。多重人格なんて普通は「空想世界の話」、「世界でも数例しかない珍しい病気」という認識でしょうから、自分がそうであるとは想像もしないからです。
しかし、まだ診断はされていなくても症状は当然あるわけですから、診断されるまではどういう感覚なのか気になりますよね? ハイドさんはその時の感覚を以下の動画で話しています。
『解離性同一性障害』と診断されるまでは、こういった統一感の無い行動を何故かしてしまうと感じていたようです。
- 何故か分からないけど急に価値観が変わる
- 何故か分からないけど発言が二転三転してしまう
- 何故か他人からすごく好かれる or 嫌われる
- すごくポジティブかと思ったら、次の瞬間には絶望している
ハイドさん・うささんは比較的軽症なので、性格が豹変するぐらいの感覚だったのかも知れません。しかし、重症者の場合は人格が変わると別人格の時の意識・記憶が無くなってしまうので、ハイドさん・うささんとは異なるプロセスを辿るのかも知れません。
先ほども話しましたが、ハイドさん・うささんが解離性同一性障害と診断されるきっかけになったのは、Youtube視聴者の指摘があったからです。その当時の動画が公開されていますので是非ご覧ください。
どんなに親しい人でも別人格にとっては他人
人格解離に対する知識が浅い人は、複数の人格をまとめて1つとして接してしまいがちです。正確には『複数の人格』ではなく『性格の変化』と受け取る人が多いと思います。例えば、約束を覚えていない事に対し「あの時約束したよね?忘れたの?」と注意するのは人格解離を『性格の変化』だと認識している可能性があるわけです。
しかし、先ほども話したように『人格の変化は性格の変化ではない』ではありません。『全く別の人に切り替わる』ということです。つまり、うささんにとっては仲の良い友人でもハイドさんにとっては赤の他人でしかないのです。
人格解離を理解している人なら「〇〇さんだね、初めまして。」となりますが、そうでなければ「え?急に他人のふりして馬鹿にしているの?」と人間関係に亀裂が入る可能性もあるのが人格解離者の最大の悩みなのかも知れません。
人格解離者はどうやって他の人格とコミュニケーションを取るのか?
人格解離者も軽症であれば社会生活が出来ます。しかし、その為には普通の人とは一風変わった努力が必要です。
それは『人格間のコミュニケーション』です。
ハイドさん・うささんの場合はある程度は記憶の共有が出来るみたいですが、それでも細かな記憶は抜け落ちてしまうそうです。さほど重要でない事はその傾向が強いみたいですね。なので、ハイドさん・うささんは共有のスケジュール帳に互いのスケージュールをメモすることでコミュニケーションをとるようです。
また、わざと独り言をいって記憶することもあるようですね。ハイドさん・うささんは互いの人格の思考までは共有出来ないみたいなので、あえて言葉にすることで耳から情報を入れて記憶を共有しているようです。
また、ツイッター(ハイドさん、うささん)を利用して意思疎通する事もたまにあるようですね。ただ、基本的にハイドさんはうささんに対して良い感情を持っていないので、攻撃的で第三者には辛い内容であることが多いですね…。
以下の動画は、二人の食事に関するスケジュールにおいて起きた面白いトラブルを収録したものです。楽しく見れる内容なので是非ご覧ください!
人格交代はどういうタイミングで起こる?意識的に人格交代出来るの?
基本的に人格解離者は「感情が高ぶった時に人格チェンジが起こりやすい」と言われています。その他にも訓練次第(?)で意識的にも人格チェンジは出来るようです。また、いくつもの人格を抱えているケース(例:みずたま研究所)だと、人格によってはチェンジし難い場合や、特定の人格になってからだとやりやすい事もあるようです。
自分の意思で人格チェンジを行い役割分担が出来るのは人格解離者の利点とも言えますが、意図しないタイミングでの人格チェンジはやはり非常に辛いようです。
当然ですよね。うささんの職場で急にハイドさんにチェンジしてしまったらパニックになるのは当然ですし、ハイドさんが他のユーチューバーとコラボ動画を撮影している時にうささんにチェンジしてしまった場合の事を考えると悩みは尽きません。
また、ハイドさんとうささんは性別が異なるので、女性の恰好をしている状態でハイドさんにチェンジしてしまうと、ハイドさんからすれば女装した状態で外を出歩いているようなのものなんですよね。うささんの場合も同様です。以前、ハイドさんの恰好の時にうささんにチェンジしてしまって、うささんはその恰好に耐えられず泣きながら家に帰ったらしいです。
また、人格がハイドさん、うささんの一方に定まらず、「自分が誰だか分からない」という不安定な状態は非常に辛いようです。おそらく、「自分が消えかけている様な感覚」になるのかも知れません。
主人格以外の人格も年齢や人生経験を重ねる事で成長する
人格解離者の人格ごとの意識・記憶がそれぞれ独立していることは話した通りです。
A人格で経験したことはA人格の人生経験として積み重なり、B人格で経験したことはB人格の人生経験として積み重なっていくのです。つまり、それぞれの人格は独立して成長していきます。
実際、ハイドさんはここ数年でユーチューバーとして大きく成長しましたし、性格も以前よりも穏やかになりましたね。
人格解離者はアーティスティックな才能があるらしい
人格解離者は芸術面の才能が高い人が多いそうです。ハイドさん・うささんも例外ではなく、以前はプロの漫画家だったみたいですね。うささんは漫画講師をやっているそうです。
また、漫画を描く時は共作みたいな感じになり、男性を描く時、女性を描く時で絵のタッチが変わるようです。男性を描く時はハイドさん、女性を描く時はうささんが出てくるみたいです。
ただ、その時は普段のようなハッキリとした人格チェンジが起きるわけではないようです。おそらく、絵を描いている時は『人格を意識せずに済む』から、ハイドさんとうささんの特徴が自然と絵に表れるのではないかと思います。
また、ハイドさんは作曲センスも抜群です。DID(解離性同一性障害)をイメージしたオリジナル曲『Dissociative Identity Disorder』が最高にカッコいいので紹介します。ピアノの演奏はだいぶ荒削りですがこれも味ですね(笑)
裏人格(交代人格)も普通の人間と変わらない
ハイドさんは後から生まれた人格、つまり裏人格(交代人格)です。
「裏人格」と聞くと、「普通とは違う危険な人格」を想像してしまうかも知れませんが、ここまで紹介した動画を見て頂けた人には「何ら普通の人変わらない」という事がお分かり頂けたかと思います。
ただ、絶望的状況をきっかけに人格解離が起き(裏人格の誕生)、その状況から主人格を守る為に身代わりになっているわけですから、裏人格は主人格を恨んでいる場合が多いのです。その結果、裏人格が自傷行為を行い、最悪は自殺するケースも珍しくないのです。
「自分が消えてしまうかも知れない…」という恐怖と戦い続けている
これは裏人格ならではの悩みかも知れません。
裏人格は「後から生まれた人格」という特徴があるので、「いつか自分が消えるのでは…?」という恐怖と戦っているようです。もちろん、裏人格と言っても言葉の定義上の話であって何ら普通の人間と変わらないわけです。
残酷なのは、解離性同一性障害という病気が改善に向かうほど「自分が消える」という危機は迫ってくるんですよね…。周囲の人が親切心で治療を薦めても、本人にとっては「消える」事、つまり「死ぬ」ようなものなので、耐えがたい物があると思います。
ただ、実際に消えたがっているのは主人格であるうささんのようです…。
生活に大きな支障が無ければ人格統合(治療)をするべきではないと考える
一般的に解離性同一性障害の治療は『人格統合』と呼ばれる「複数の人格を一つにまとめる」行為を行うのですが、これは人格解離者にとっては恐怖でしかないようです。
先ほど言ったように「自分が消える」という恐怖の他に「複数の人格をグチャグチャにシェイクされる」という恐怖もあります。そういう理由で人格統合に消極的な人格解離者は多いです。いくら1つの体とは言っても、それぞれの人格はそれぞれが異なる意識や記憶を持っているわけですから、シェイクされて1つにされるのは恐怖でしかないのは容易に想像が付きます。
うささんは一度だけ人格統合の治療に行ったようですが、40年ものあいだ解離した人格はそう簡単には統合されるわけもなく、現在では『人格共存』という選択を考えているようですね。
まずは人格解離を知ろう。それだけで彼らの手助けになる。
今回はユーチューバーのハイドさん、うささんを例に人格解離について解説しました。
あくまで、今回紹介したのは症状の一例です。
彼らのケースは解離性同一性障害の中ではまだ軽症と言われていて、重度になると人格が10、20、30と増えていきます。そうなると彼らのような人格間のコミュニケーションが困難になり、さらには頻繁に人格交代も起きるでしょうから日常生活にかなり支障が出ると思われます。さらには別人格の時の記憶が全くないケースもあります。そういう場合は人格統合などの治療が望ましいかも知れません。
なので、「ハイドさんと症状が違うからこの人は演技に違いない!」などと否定しないようにしましょう。否定すればそれがストレスになり更なる人格の分裂が起こる原因になりかねません。
解離性同一性障害は周囲の理解があるだけで大幅に生活しやすくなります。彼らの辛さを完全に理解することは難しいかも知れませんが、学び知る事は出来ます。一人一人の心がけが大切です。